『DOPE』“才木”髙橋海人と“陣内”中村倫也の確かな絆 “椿”忍成修吾の裏切りが明らかに

髙橋海人と中村倫也がW主演を務める近未来アクションドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)。異能力を引き出す新型ドラッグ「DOPE」をめぐって動き出した秘密組織・特捜課の戦いも第3話に突入。前回までに明かされた“陣内の過去”にさらなる深みが加わると同時に、ジウ(井浦新)の動きが不穏さを加速させていく。 第2話のラストで描かれたのは、陣内(中村倫也)が7年前に見た地獄だった。飲み会から帰宅した彼が目にしたのは、血だまりの中で動かなくなった妻・香織(入山法子)の姿。犯人は未だ捕まっておらず、彼女の死は陣内に深い傷と執着を残すことになる。このシーンで肩を震わせ、声にならない嗚咽を漏らす陣内の姿は、中村倫也の繊細かつ静かな演技によって深い説得力を持って視聴者に届いた。 その陣内に才木(髙橋海人)は「逮捕すべきです。犯人を殺しても意味がありません。奥さんは喜ばないんじゃないですか?」と静かに諭す。その言葉に、陣内は思わず声を荒げて掴みかかるが、それでも才木の正しさも、陣内の復讐心も、どちらにも納得がいってしまう。観ている側もまた、“正義”とは何かを問われるような対立だった。 一方、陣内の過去を知るために調査をしていた才木だが、偶然居合わせた椿(忍成修吾)の協力を得て香織の事件に関する捜査資料を開く。そこで、事件を機に陣内が警察を辞めていたことや、椿自身も当時の捜査に関わっていたことが判明。だが椿の行動は何かを隠しているようでもあり、「陣内にDOPE服用の疑いがある」と才木に監視を頼むなど、どこか不可解な言動を見せる。 同じ頃、DOPE依存者の更生施設「RCDA」では、美和子(真飛聖)の退所が決定し、才木はようやく母との穏やかな時間を得る。しかしそんな中、施設内でのDOPEの流通が発覚。ジウが美和子と接触した直後に非常ベルが鳴るという一連の動きからも、裏で蠢くジウの存在が不気味さを増していく。 DOPE密売人の捜査に動いた特捜課は、山田ニコラス(フェルナンデス直行)の触覚能力でジャヒド(植野行雄)に接触。追い詰められたジャヒドはDOPEを服用し、電流を操る能力“エレクトロニクス”を開花させる。電線を通して攻撃を仕掛けるジャヒドに対し、陣内は超人的な身のこなしで応戦。綿貫(新木優子)がタイヤを用いて応戦し、ついにジャヒドの確保に成功する。バトルの緊張感と、チームプレイの呼吸の良さが光るアクションシーンだった。 だが、事件はそこで終わらない。才木は歓迎会で酔い潰れ、陣内に送られて帰宅する。その車中で、「DOPEを無くしたいです」とぽつりと漏らした言葉には、母の存在があった。かつて母がDOPEに溺れ、家族がバラバラになってしまった過去。才木はただの理想主義者ではなく、私的な喪失体験を通して「救う側」でありたいと願っているのだ。その話を聞いた陣内の表情には、少しだけ揺れる情が滲んでいた。 一方で、椿の裏の顔が徐々に明らかになりつつある。かつて香織の事件の捜査に関わっていた彼は、その真相に何かしらの形で近い立場にあったことが匂わされる。さらに、ジャヒドは大企業タカノフィードが雇った人物であり、特捜課がその会社を追い詰めていく過程で、社長の高野の関与が浮かび上がる。DOPEを用いた密売と、それに絡む巨大組織の存在。その構図が、一層大きな陰謀を示唆している。 再びタカノフィードに潜入した才木と陣内。待ち伏せていた高野はDOPEを服用し、人の意識を操るという恐るべき能力を発動する。操られた才木が陣内に銃を向け、2人が対峙する展開に。緊張感のなかでなんとか正気を取り戻し、高野が再び銃を構えた刹那、陣内は冷静に能力を使い、才木を守る。反射的な行動ではなく、確かな判断と絆の現れだった。 その直後、逮捕されたジャヒドが留置所内で死亡したという報告が入る。もはや偶然ではない。さらに、本郷(佐野和真)がガサ入れ情報を外部に漏らしていたり、戸倉(小池徹平)が椿による監視を密かに陣内に伝えていたりと、警察内部に渦巻く疑惑も顕在化していく。新宿中央署で起きた5億円強奪事件と麻薬押収金の消失という過去の不祥事も絡み出し、“本当の犯人は警察内部にいる”という仮説がリアリティを帯びていく。 部屋で1人、陣内が見つめていたのは椿の写真。その視線に浮かぶのは、かつての同僚としての思いか、それとも。ジウの暗躍、椿の裏切り、そしてDOPEに侵された過去と現在が描かれた第3話は、陣内という人物の輪郭をさらに濃く描きながら、特捜課全体を巻き込む謎の濃度を一段階引き上げた回となった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする