日本犯罪史に残る世田谷一家殺害事件。 未解決のまま、25年がたとうとしています。 事件から四半世紀が経過する中、これまで警視庁は犯人の推定年齢を「15歳から20代」としてきましたが、DNA解析により、「30代」の可能性もあることがFNNの独自取材で新たに分かりました。 犯人は現在50代から60代に。 新たな犯人像を浮き彫りにした“DNA解析”。 しかし、犯人検挙に向けてはいまだ壁が立ちはだかっています。 2000年12月、大晦日の朝、東京・世田谷区の住宅で家族4人が全員惨殺された状態で見つかった凄惨(せいさん)な事件が起きました。 殺害されたのは、会社員だった宮沢みきおさん(当時44)と妻の泰子さん(当時41)そして、当時小学2年生の長女・にいなちゃん(当時8)に、小学校入学間近だった長男の礼君(当時6)。 礼君は首を絞められ、残る3人は何度も刃物で切り付けられ殺害されていました。 この事件の凄惨さを物語るのは、犯人は4人を殺害した後も宮沢家に居座り、冷蔵庫のアイスクリームを食べたり、みきおさんのパソコンを使うなどの形跡があったことです。 現場には犯人が脱ぎ捨てていったジャンパーや当時、若者の間ではやっていた“ラグランシャツ”。 さらに、チェックのマフラーなどが残されていました。 警視庁は2018年に、犯人が現場に残した服装やヒップバッグのベルトの長さから推測される腰回りの細さなどで、犯人の推定年齢を「15歳から20代」と発表。 犯人は少年、または比較的若い男と思われてきました。 しかし、FNNの独自取材で新たな犯人像が浮かび上がってきたのです。 現場に残された犯人のDNAを警視庁が専門機関に依頼し解析したところ、犯人の推定年齢はこれまでの推定年齢より高い「30代」との結果が出ていたことが明らかになりました。 この推定によれば、犯人は現在50代から60代。 これまで公表してきた推定年齢より年上である可能性が出てきたのです。 警視庁の捜査員は、「犯人は30代でも違和感はない」とし、「現場に残された犯人のものとみられる服やヒップバッグは若者風であることから、10代や20代と思われているが、それが犯人がいつも身につけていたものか、犯人が自分で買ったものか分からない」と話します。 事件現場に残された血液などから犯人を特定するDNA解析。 事件発覚後に捜査員が現場で撮影した写真を見ると、犯人が直接かぶりついたと思われるアイスクリームのカップには、唾液が付着。 さらに、犯行で手にけがをし、自らの血液という決定的な証拠も現場に残していました。 専門家は、最新のDNA解析で年齢を推測することについて、「誤差は2、3年でかなり高い精度」とした上で、「日本はDNA解析を犯罪捜査に活用するべき」と主張します。 北里大学医学部法医学・落合恵理子助教: 過去の文献で唾液からでも年齢の推定が可能とある。未解決事件に関わる検査として活用されていくのはいいのではないかと。 重大事件解決の手掛かりになる可能性があるDNA解析は、海外では広く活用されています。 2010年にアメリカ・ユタ州で起きた殺人事件では、現場から採取した犯人のDNAから似顔絵を作成。 その後集まった情報などをもとに逮捕された犯人は、似顔絵とうり二つだったのです。 こうした最新技術で、アメリカなどでは、すでに345件以上の事件を解決したといいます。 フジテレビの上法玄解説委員は、日本にはDNA解析で犯人を捜査する法制度が進んでいないと指摘します。 フジテレビ・上法玄解説委員: 日本で認められているDNA捜査は現場に残されたDNAと、ある人物のDNAが一致するかどうか、これだけを鑑定することができます。 警察庁は、「警察で行うDNA型鑑定に使用されるのは、DNAのうち身体的特徴や病気に関する情報が含まれていない部分」としています。 つまり、アメリカのように顔の特徴などを割り出すDNA解析が日本では行えないのです。 フジテレビ・上法玄解説委員: DNAで様々な犯人のプロファイリングができる技術が年々飛躍的に進歩していることから、例えば重大な未解決事件に限って現場に残された犯人のDNAを活用して、それを解析することにより犯人像を新たに浮き彫りにしていくことは今後求められていくことだと思う。 情報提供:成城署 03-3482-0110