東京・神保町の古書店で書籍を盗んだとして、警視庁神田署は窃盗の疑いで、東京都調布市菊野台の職業不詳、松谷洋一容疑者(43)を逮捕した。盗まれたのは芥川龍之介の短編小説「煙草と悪魔」で、1万円で販売されていた。容疑を認め、同様の窃盗を「10件以上はやった」と話しているという。 同署によると、容疑者は7月上旬ごろから神保町の複数の古書店で本を盗み、他店に売却する行為を繰り返していたとみられる。中国の古書など高値で売れるものを選んでおり、ほかに15冊計112万円の被害が確認されている。転売で得たカネは生活費やパチンコ代に充てていたという。 逮捕容疑は22日午後0時40分ごろ、神保町の書店で「煙草と悪魔」をエコバッグに入れ、持ち去ったとしている。本は見つかっておらず、神田署が売却先などを調べている。 警戒していた店員が容疑者の行動を不審に思い、店を出たところで呼び止めてカバンの中を見せるよう促すと、容疑者は拒否しタクシーに乗り逃走。店から通報を受けた同署が捜査し、タクシーのドライブレコーダーの映像などから容疑者を特定した。