伊万里市東山代町の住宅で26日に住人の母娘が刃物で切り付けられた強盗殺人事件で、佐賀県警は27日、娘を殺害したとして強盗殺人と住居侵入の疑いで、ベトナム国籍の技能実習生ダム・ズイ・カン容疑者(24)を逮捕した。「何も話したくない」と供述している。現場近くのカン容疑者が住む寮から血痕が付着したナイフ(刃渡り約13・5センチ)が見つかり、凶器とみて調べている。 逮捕容疑は26日午後4時20分ごろ、住宅で日本語講師の女性(40)にナイフを示して脅し、現金1万1千円を奪った上、ナイフで首を切り付けるなどして殺害した疑い。県警は28日、カン容疑者を送検した。 県警によると、カン容疑者は同市内の食品加工の作業員で、複数のベトナム人の技能実習生と一緒に寮に住んでいた。寮から血の付いたナイフ1本を押収し、鑑定を進めている。 母親は外へ逃れ、救急搬送された。現場周辺の住民は「(母親の)体の半分以上が血に染まっていた」のを目撃した。命に別条はなかった。首付近などに切り傷があり、県警は母親に対しても強い殺意があったとみて強盗殺人未遂容疑での立件を視野に捜査を進めている。 県警によると、娘と母親が在宅時に男がインターホンを押し、母親が玄関を開けたところを侵入して「お金」「財布見せろ」などと要求した。娘が1万円を渡した後も脅迫を続け、さらに千円を奪って2人を切り付けた。母親は玄関とは別の出入り口から逃げ、近隣に助けを求めた。娘は玄関の土間で血まみれになって倒れているのが見つかり、現場で死亡が確認された。 玄関のインターホンに記録された画像には、カン容疑者とみられるマスク姿の男が映っていた。住宅の土間から室内に向かった足跡や、室内が荒らされた形跡もあった。母親はカン容疑者との面識はないと話しており、娘との面識の有無について調べるとともに、現場の住宅を狙った経緯なども捜査している。(取材班)