《ブラジル》解説コラム=注目される50%関税への対応=ブラジル近代史の節目到来=トランプ大統領という〝黒船〟

トランプ大統領という〝黒船〟がブラジル近代史に「節目」をもたらしている。サンパウロ大学(USP)法学部の二宮正人シニア教授(76歳、長野県出身)は25日(金)午後、編集部を訪れ、「ブラジル人の特性が発揮される集会が本日、法学部大講堂で開かれました。トランプの圧力に対抗して、国家主権を掲げて、左から中道までが大同団結しました。米国がホワイトハウスのレターでブラジル最高裁判決にケチをつけるなど、軍政時代ですらなかったことが起きたことへの反発です」と解説した。 USP法学部といえば、1932年の護憲革命の発端になった学生の演説のようなブラジル近代史の節目を飾る、民主主義に関わる声明が発せられてきた歴史的な舞台だ。本紙22年8月16日付《「ブラジル人への手紙」の意義=軍政時代の痛みと逆戻りへの恐怖》(https://brasilnippou.com/ja/articles/220816-column)で書いたように、軍政時代の強権圧政に苦しむ民衆の声を代弁して1977年8月11日にUSP法学部創立150周年を祝う式典で「ブラジル人への手紙」が読み上げられた。軍政から逮捕されるかもしれない状況の中、勇気ある知識人らが第一声を上げた。公に出された最初の軍政批判であり、ここから8年がかりで民政移管への運動が盛り上がっていく。 そして2022年8月にはボルソナロ大統領(PL)が既存の投票制度や電子投票機を繰り返し攻撃していることに反発し、同法学部有志が企画した公開書簡「法治民主国家擁護に関するブラジル人への手紙」にもたくさんの賛同署名が集まったことは記憶に新しい。 その流れで、今回も同法学部で民主主義と国家主権擁護の宣言が行われた訳だ。

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