悪質ホストクラブに絡み取られる女性、「改正風営法」で性的搾取の構図は根絶できるか スカウトに依存する地方風俗店、売春あっせん先は海外にも

山下恵さん(28)=仮名=は新型コロナウイルス禍の2021年、交際相手との別れをきっかけに始めたマッチングアプリで、ホストの男性(28)と出会った。彼の求めに応じて名古屋の繁華街・栄の店に通い始め、膨らんでいった借金はやがて数百万円に。離れた実家にもカードローン返済の督促状が届き始めた。 勤め先を退職し、性風俗の仕事を掛け持つようになったが、返済のめどは立たない。2年後、「ワーキングホリデーに行く」とオーストラリアに渡った。実際には、売春が目的だった。 その後も両親の制止を聞かず東アジアや北アメリカに渡り、3千万円以上を得た年もあった。両親が貸したスマートフォンには、ホスト名義の口座への送金記録が残っている。行動の裏にはホストクラブや風俗あっせん業者の影がちらつくが、恵さんはこう言い張った。「自分で決めて渡航した」 悪質ホストクラブで多額の借金を背負った女性に性風俗店勤務や海外売春を強いる現状を改善しようと、改正風営法が5月に成立した。客に売春を強要することや、女性の紹介を受けた店側が見返りとして支払う「スカウトバック」が禁止される。だが“現場”を取材すると、早くも実効性を疑問視する声が聞こえてきた。性的搾取の網は断ち切れるのか―(共同通信=佐藤仁紀) ※筆者が音声でも解説しています。「共同通信Podcast」でお聴きください。

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