米「区割り戦争」過熱 テキサスで民主議員に逮捕状 中間選挙で「有利な線引き」狙う

【ワシントン=大内清】2026年11月の米中間選挙に向け、連邦下院の選挙区割りを巡る共和、民主両党の争いが激しさを増している。南部テキサス州では、州議会で多数派の共和党が進める区割り案を巡って民主党議員らが採決を阻止するために州外に出て、逮捕状が発付される事態に発展。民主党優勢の西部カリフォルニア州などではテキサスに対抗した区割り変更を模索する動きもあり、党派による分断がいっそう深まっている。 米国では、連邦下院の区割り権限は各州にある。区割りの際、特定の政党が自党に有利となるよう、「ゲリマンダー」と呼ばれるいびつな線引きを行うことも多い。区割り変更は10年に一度の国勢調査後に実施されるのが普通だ。 テキサスではこのほど、州議会で多数派の共和党が、30年実施の国勢調査を待たずに自党に有利となる区割り変更法案を提出。成立した場合、州内で民主党が持つ連邦下院の5議席程度が共和党に移る可能性が高いとされる。 共和党のこうした動きは、トランプ大統領の強い後押しを受けたものだ。トランプ氏は5日、「テキサスで5議席増やす好機だ。われわれにはその資格がある」と主張した。共和党は現在、連邦議会の上下両院を握るが、いずれも民主党との議席差はわずか。政権への「通信簿」の意味合いが強い中間選挙は与党不利となる傾向があるのを念頭に、強引な区割り変更で自党に有利な環境をつくる狙いがある。 対抗手段としてテキサス州の民主党議員団数十人は今月初め、一斉に州外へ出る挙に出た。法案審議に必要な出席者の定数を満たさないようにするためだ。これに対し共和党側は4日、民主党議員団に逮捕状を発付する動議を可決。議員団は、テキサスに戻ると身柄を拘束される可能性がある。 対立は他州を巻き込んで先鋭化している。テキサス民主党議員団の一部が滞在する東部ニューヨーク州のホークル知事(民主党)は4日に記者会見し、「これは戦争だ。われわれは戦争をしている」と協調。カリフォルニア州のニューサム知事(同)も4日、テキサスで区割り法案が撤回されなければ、民主党がテキサスで失うと予想されるのと同数程度の議席を共和党から奪い取るためにカリフォルニアの区割りを変更する考えを示した。 ◇

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