大川原化工機を巡る冤罪事件 警視庁が検証結果公表「捜査指揮系統の機能不全で違法な逮捕に」

機械製造会社・大川原化工機を巡る冤罪(えんざい)事件で、警視庁は8月7日、公安部の捜査指揮系統の機能不全により違法な逮捕につながったとする検証結果を公表しました。会見で迫田裕治警視総監はおよそ15秒間にわたって深々と頭を下げ「当時公安部において組織的な捜査指揮がなされなかったことで捜査の基本を欠き、その結果、控訴審判決において違法であるとされた捜査を行ったことを真摯(しんし)に反省している」と述べました。 公表された検証結果では、経験豊富な現場指揮官が検挙を第一に考えて捜査上の課題などに注意を払わなかったことや、捜査についての報告が形骸化していて、公安部長らに必要な情報が伝わらず、実質的な指揮がなかったなどとする問題点がまとめられました。 そして、警視庁は当時の公安部長ら退職者を含め、19人の処分を明らかにしました。 今回の発表を受け、大川原化工機の大川原正明社長らは会見を開き「逮捕したら保釈もなかなかしない、いわゆる人質手法について、こちらが期待した内容にはなっていなかった」と失望感を示しました。 <警視庁が検証結果を公表 反省点と再発防止策は?> 警視庁は今回、退職者を含めて合わせて47人に聴取し、検証を行いました。その結果、警視庁は大川原化工機への捜査の反省事項として「現場の捜査指揮官が検挙を第一としていた」「捜査を指揮する公安部長の補佐役が捜査班の運営実態を十分に把握していない」などを挙げました。また、全体を統括する幹部は本来、報告がなくても全体を俯瞰(ふかん)して問題点を把握する立場であり、今回の逮捕の判断についても「適正性を特に慎重に検討するべきだった」としています。 こうした反省点を踏まえ、警視庁は再発防止策も報告書にまとめています。 重要事件について、公安部長や参事官らが参加して定期的に開催する会議制度の導入や、捜査が適正かどうか・部長への報告が適切に行われているかどうかなどを把握するチームの立ち上げ、さらには、これまで経験に頼って運営されてきた捜査会議を「ガイドラインとしてまとめる」こと、捜査の過程で「部下が発言しやすい環境づくりを進める」ことなども盛り込まれました。 警視庁には実効性ある改革が求められています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする