お笑い芸人・なかやまきんに君の個人事務所に勤めていた元スタッフが、会社の資金800万円をだまし取った疑いで警視庁に逮捕された。 「逮捕されたのは、きんに君のマネージャーも務めていた飯尾雄一容疑者です。 2024年4月に『自分が運営している洋服の通販サイトで金が必要になった。貸してほしい』と訴え、きんに君の事務所から800万円を借りました。 その後、事務所は返済を迫りましたが、連絡が取れなくなったため、同年6月に被害届を提出しました。飯尾容疑者が通販サイトを運営していた事実はなかったようです」(芸能記者) きんに君は公式サイトで《信頼していた元スタッフがこのような行為に及んだことに僕自身大変ショックを受けております》と、苦悩する胸中をつづっている。 これまでも、芸能人の個人事務所を舞台にした詐欺、横領事件は、たびたび発生していた。 「デヴィ夫人は個人事務所『オフィス・デヴィ・スカルノ』の元経理担当者に、2013年から2016年にかけて計59回、事務所名義の口座から現金計約2200万円を引き出され、着服されました。元経理担当者は業務上横領罪で起訴され、懲役4年(求刑4年6月)を言い渡されています。 額の大きいところでは、シンガー・ソングライターの槙原敬之さんも、1億円以上の現金を個人事務所の銀行口座から着服されていました。個人事務所の元社長に、1998年1月から1999年10月にかけて『業務協力費』として引き出され、別のペーパー会社の口座に入金された後に、着服されていたのです。 元社長は取調べに『事務所の収入がなくなったときに備え、現金を手元に置いておきたかった』と釈明したそうですが、約3000万円は自らの生活費などに充てられてたとのことです」(前出・芸能記者) タレントの所ジョージも2009年、元マネジャーに個人事務所の現金5000万円以上を横領されている。このとき所は、「私は何も感じていない。楽しいことを考えるには(事件は)なかったことにしないと。そのくらいのお金はなんともない」と記者団に答え、笑いに変えた。 その後、元マネージャーは解雇されたが、返済の意思があったため、所は刑事告訴を見送っている。 なぜ芸能人の個人事務所で事件が多発するのか。背景を、犯罪心理学者で東京未来大学副学長兼こども心理学部長の出口保行氏に聞いた。 「個人事務所は、お互いの信頼のなかで成立しているものが多く、監査機能がどうしても緩やかになります。 いわば“性善説”で成り立っているので、悪事を働こうと思えば案外、簡単にできてしまい、発覚するまでに時間がかかるのも特徴です。詐欺や横領という事件が起きやすいのです」 浮き沈みの激しい芸能界を、ともに渡っていくなかで、固い信頼関係が結ばれていることも多いのが、芸能人と個人事務所のスタッフたちの特徴でもある。芸能人も、まさか“身内”にお金をとられるとは思いたくないのだろう。被害に加えて、その信頼が裏切られたときのショックも大きそうだ。