『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)が第6話より第2部に突入する。第1部ラストとなる第5話は、いつにも増してトピックの多い濃密な回となった。 まず第5話での最大の焦点となるのは、15年前に布勢(玉置玲央)を殺したのは寛(段田安則)なのかということだ。結果的に犯人は寛ではなく、外部の第三者という可能性が高く、ネルラ(松たか子)は父を、寛は娘を15年もの間、お互いに事件の犯人と疑っていたことになる。 布勢の事件と関係してくる話として寛の口から明らかになるのは、幸太郎(阿部サダヲ)も知らなかったレオ(板垣李光人)の誘拐事件だ。布勢が亡くなる1カ月前、身代金1千万円を要求するレオの誘拐事件が起こっていた。不幸中の幸いでレオは誘拐されておらず、いたずらに終わっていたが、その犯人が布勢だったのだ。画家としてスランプに陥っていた布勢はイタリアンレストランを出店するための出資を寛に頼ってきた。しかし、寛はそれをやんわりと断り、才能を諦めるのはもったいないと説得しながら、贋作でも描いて冬の時代を耐え抜いてほしいと口走ってしまう。そのことが布勢に眠っていた画家としてのプライドを傷つけ、幼いレオの誘拐未遂を引き起こしてしまう。「不幸の始まりは、ネルラに喋ったことにある」と寛が話しているように、そこからネルラと布勢の争いに発展し、事件は起こってしまった。 ここでアクセントになってくるのが、第3話で描かれた鈴木家の家族旅行だ。ネルラのもう一人の弟・五守を“殺した”自責の念に駆られるネルラにとって、レオは弟を超えて自分の子供のように大切な存在になっている。寛にとっても、考(岡部たかし)にとってももちろん同じ。だからこそ、レオの誘拐事件はあってはならないことで、寛とネルラは互いに犯人だと疑いあっていた。犯人と思われる男の足を見ていたというネルラの証言に、「15年ぶりにホッとしたよ」とじわじわと安堵の表情を見せる寛、父の様子を見て微笑みながらも幸太郎と目が合い戸惑いを滲ませるネルラのやり取りが印象的だ。 ネルラが描いていた自画像は自分自身と向き合うため、今度こそ全てを警察に話すことを決心した決意の表情だった。そして、もう一人、自分自身と向き合い、正直になることを決意したのが、黒川(杉野遥亮)だ。「好きなの? だから、いたぶりたいの?」というネルラのストレートな問いかけに冷静を装うものの、心の奥底では動揺を隠せない黒川。幸太郎の「惚れた女のために一緒に戦いましょう」という誘いに、黒川は町中華をやけ食い。ネルラを待ち伏せし、「真犯人は自分が見つけます。あなたのために」と堂々と宣言するのだ。ネルラを守るため、真犯人逮捕に向けた幸太郎と黒川の共同戦線は熱い展開だが、三角関係は勃発したままである。 第2部開幕となる第6話では、「出頭してきました。名前は……」という黒川のセリフと「突如現れる“新犯人”」のテロップ、さらに加速する三角関係。「木曜ドラマ『しあわせな結婚』ポッドキャスト」でも話題に挙がっていたことだが、この物語の終わりがどのように着地していくのか、いよいよ想像がつかなくなってきた。