神戸殺人 逮捕の容疑者、女性の勤務先近くに3日前から宿泊か

神戸市中央区のマンションで住人の会社員、片山恵さん(24)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された谷本将志(まさし)容疑者(35)=東京都新宿区=が、事件の3日前から片山さんの勤務先近くのホテルに宿泊していたことが捜査関係者への取材で判明した。容疑者は面識のない片山さんを約50分にわたり尾行していたとみられ、兵庫県警は片山さんを執拗(しつよう)に狙った経緯を捜査している。 事件は20日午後7時20分ごろに発生した。谷本容疑者はマンションのエレベーター内で、帰宅した片山さんの胸などをナイフで複数回刺して殺害したとされる。片山さんについて「全く知らない人だった」と供述している。 捜査関係者などによると、容疑者は東京都内の運送会社で働いており、17日から21日までお盆休みだった。17日のうちに神戸に入り、片山さんの職場近くのホテルに滞在していた。容疑者は数年前まで神戸市に居住し、事件現場周辺に土地勘があったとみられ、県警が休暇で神戸を訪れた理由などを調べている。 これまでの捜査で容疑者とみられる人物が事件当日、職場から帰宅する片山さんを50分近くにわたって尾行していたことが明らかになっている。 片山さんは神戸市中央区にある勤め先を午後6時半ごろに退社。郵便局に立ち寄ったり買い物を済ませたりしながら、電車を乗り継いで帰宅した。帰宅経路にある複数の防犯カメラには、容疑者とみられる人物が片山さんを退社直後から追う様子が記録されていた。 容疑者は片山さんが開けたマンション玄関のオートロック式ドアが閉まらないうちに建物内に入り、一緒にエレベーターに乗り込んで事件に及んだとされる。 容疑者は21日にホテルをチェックアウトする予定だったが、実際には20日の事件直後、JR新神戸駅から新幹線で東京方面に逃走していた。22日夕に東京都奥多摩町内を1人で歩いているところを警視庁の捜査員が発見し、確保された。「殺意を持っていたかは分からないが、腹部の辺りを1回か2回くらい刺した」と容疑を一部否認している。 一方、容疑者は2022年1~5月、神戸市中央区の別の女性につきまとって首を絞めたなどとして傷害やストーカー規制法違反などの罪に問われ、神戸地裁で同年9月に執行猶予付きの有罪判決を言い渡されていた。確定判決によると、マンションの女性宅に、オートロック式の玄関ドアをすり抜けるなどして侵入していた。【前田優菜、稲生陽】

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