薬物を巡って企業の経営陣が辞任する事例は、新浪剛史会長が1日付で辞任したサントリーホールディングス(HD)だけでなく、過去にオリンパスやトヨタ自動車などの有名企業でも起きていた。 大手精密機器メーカーのオリンパスでは令和6年10月、当時の社長兼最高経営責任者(CEO)の男性が違法薬物を購入していた疑いが浮上し、同社は辞任を発表した。 男性は欧州出身で、前年の4月から社長兼CEOを務めながら、医療機器分野の改革などに力を入れていた。その後、違法薬物を譲り受けたとする疑いで書類送検、在宅起訴された。 トヨタ自動車では平成27年6月、常務役員(当時)の米国出身女性が麻薬成分を含む錠剤を密輸した疑いで警視庁に逮捕された。トヨタ初の女性役員として4月に着任したばかりだったが、逮捕を受けて辞任した。 女性は「膝の痛みを和らげるためだった」と容疑を否認し、不起訴処分(起訴猶予)となった。令和4年には北米トヨタの「シニアメディアアドバイザー」の役職でトヨタに復帰した。 老舗の大手文具メーカー、トンボ鉛筆では平成19年、当時会長だった男性が、覚せい剤取締法違反(所持)などの疑いで現行犯逮捕され、辞任した。裁判では、15年の会長就任前後から覚醒剤を使い始めたと述べた。 17年には、マンション販売会社「ダイナシティ」の当時社長だった男性が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕され、解任された。男性は「マンション業界の風雲児」として知られていた。