噴霧乾燥器、輸出規制を明確化 大川原化工機の事件受け

経済産業省は4日、機械メーカーの大川原化工機(横浜市)を巡る冤罪(えんざい)事件で、国家賠償を命じる高裁判決の確定を踏まえた輸出規制の見直し案を公表した。 同社が不正輸出したとされた噴霧乾燥器について、関連の省令を改正。生物化学兵器への転用の恐れがあるとして規制する製品の範囲を明確にし、再発防止を図る。 噴霧乾燥器は、粉ミルクなどの製造にも使われる液体を粉末にする装置。一部の装置は生物兵器にも転用できることから、国際的な輸出規制の対象となっている。 これまで規制対象となる条件として、装置内部に残る微生物を「殺菌」できる場合は、生物兵器を製造する従業員への暴露を防げることから、転用可能とみなされ、経産省の輸出許可が必要となっていた。 事件では、警視庁公安部が2020年3月、大川原化工機の大川原正明社長ら3人を噴霧乾燥器を無許可で輸出した外為法違反の疑いで逮捕。その際に、殺菌能力がないと主張した会社側に対し、公安部が空だきした蒸気で滅菌できるとの論拠で捜査を進め、冤罪につながった。 同省は国際規制に合わせ、蒸気など物理的な手段による「殺菌」は規制の対象外とし、化学物質を使った「消毒」ができる場合に限定して曖昧さをなくす方針。意見公募を1カ月間行い、早期施行を目指す。

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