現代の中南米系移民と80年前の日系人は重なる…トランプは「アメリカの黒歴史」を再び繰り返すのか

8月中旬テキサス州エルパソに移民の収容施設が設置されると、日系アメリカ人社会から再び強い抗議の声が上がった。施設が建った陸軍基地は、第2次大戦中に日系人の強制収容所があった場所だ。 厳しい不法移民政策を掲げるドナルド・トランプ大統領の下、移民関税執行局(ICE)は収容施設を増設し、おびただしい数の人々を拘束している。これに対し日系人は、強制収容の記憶を呼び覚ますとして抗議してきた。 トランプ政権は1798年制定の「敵性外国人法」を第2次大戦以来初めて復活させ、ICEの権限を拡大している。日系人の強制収容の主な法的根拠となったのが、敵性外国人の拘束と強制送還を可能にするこの法律だった。 ICEはトランプの期待に応えようと、2024年に閉鎖されたサンフランシスコ近郊ダブリンにある刑務所を再利用するなどして、各地で収容所の増設を進める。 7月、ダブリンで開かれた抗議集会には大勢の日系人が参加し、ICEの取り締まりは12万人以上の日系人の強制収容に至った歴史をなぞっていると警鐘を鳴らした。ICEの内部資料によれば、現在施設に収容されている不法移民は全米で6万人に上るという。 人種や民族は無関係だというのが国土安全保障省の主張だが、人権団体はICEが中南米系を狙い撃ちにしていると批判する。 ダブリンの抗議集会に参加した日系のリン・ヤマシタは、ABCニュースの取材に対してこう述べた。「私がここに来たのは、日系人が収容所に送られたから。私の父も収容所に送られた。二度と起きてはならないことが、再び起きている。恥ずべきことだ」 ダグラス・ヨシダは「国が侵略されたわけでもないのに、トランプは適正な手続きを踏まずに移民を強制送還しようと敵性外国人法を利用している」と、異議を唱えた。

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