髙橋海人と中村倫也がW主演を務める『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)がいよいよ最終回を迎える。ついにジウ(井浦新)との最終決戦に向かう才木(髙橋海人)と陣内(中村倫也)も気になるところだが、ここでは特捜課を取り巻く女性たちに注目していきたい。 綿貫(新木優子)は、冷静な性格のメンバーが多い特捜課の中でも一際クールな紅一点。腕力が人一倍強い異能力を持ち、犯人の制圧や逮捕に尽力している。自分の能力の使い道を熟知しているところがあり、第6話では暴走した本郷(佐野和真)に襲われそうになった柴原(豊田裕大)をその腕一本で助けている。 さらに綿貫は、護身術や逮捕術が苦手な才木のため、トレーニングに付き合ったり、仕事を終えると一緒に生活している祖母の介護のためにすぐに帰ったりと、実は“人を助けたい”という思いも強い。フィジカル的な強さと優しい心。まさに“正義”という言葉を体現しているのが綿貫というキャラクターなのかもしれない。だが、“正義”は時に柔軟さを失い、暴走することがある。綿貫は後輩にパワハラ的な指導をしてしまったことがあるからか、自分の中の“闇”にも敏感である。自分や他者にまっすぐ向き合いすぎて苦悩している綿貫の姿は、普段のカッコよさからはかけ離れたか弱さを感じさせ、寄り添いたくなってしまう。この綿貫の二面性に心を掴まれた人も多かったのではないだろうか。 綿貫を“正義の女”とするならば、その対極、“ヴィランの女”として本作に存在しているのが泉(久間田琳加)だ。泉こそ綿貫からの指導を受け、潰れてしまった後輩。新人であった泉は、現在の才木と陣内のように綿貫とペアとなり、仕事をしていたよう。第5話では、報告書のミスを指摘される泉が映し出されたが、彼女にとってそれ以上に堪えたのは、綿貫とのトレーニングだろう。泉の異能力は脚力。それだけを聞くと綿貫とペアとなれば最強のように感じるのだが、ある日のトレーニングで異能であるはずの泉の蹴りが綿貫によって防がれてしまう。身体的な能力は鍛えればそれなりに強くなっていくもの。だが、その一瞬で「異能が効かない」ことを体感した泉の気持ちを思うといたたまれなくなってしまう。 泉は今でも綿貫に執着しており、最終回直前の第9話では、ジウが才木たちのことを待っていることを伝えにくるが、わざわざ綿貫を「私も綿貫さんのこと、待ってます」「女子会、すっごく楽しみ」と煽っている。泉はキュートな表情でにっこりと笑いながらこうした言葉を発するため、その裏にある怖さや闇のような黒い感情が、さらに増幅されてこちらに伝わってくる。特捜課にはいないそのキャラクター性が異質感を生み、泉の存在感を際立たせているのである。 そして、“正義”と“闇”の両方をあわせ持っているのが才木の母・美和子(真飛聖)である。美和子は先天性のヒーリングという異能力を持っていたが現在はその能力は失われている。しかし、DOPE依存は簡単には治らず治療を続けている。才木には同じ異能力を持つ者として、そして母としてさまざまなアドバイスをし、「DOPEを根絶させたい」という彼を応援していた。しかし、実はそのDOOEを生み出してしまったのが美和子の夫であり、才木の父であることが第8話で明らかに。自身も依存症に苦しみながら、DOPEに関する重大な秘密を1人で隠していたなんて。その重圧を考えると美和子の人間としての強さに頭が下がる思いだ。母のこの思いを胸に、才木にはなんとしてでもDOPEを根絶してほしいと願うばかりである。 ついに最終決戦。綿貫と泉は果たしてどんな戦いを繰り広げるのか。そして美和子はどうなってしまうのか。この3人の女性に注目して見るのもいいかもしれない。