在日中国人が増加している。法務省の統計によると、2024年末時点で約87万3000人に上り、和歌山県の人口(約88万8000人)とほぼ同数となった。00年以降は右肩上がりで増え続けている。近年の特徴として挙げられるのは、数億円以上の財産を持つ富裕層や幅広い中間層、特定技能制度などで来日した労働者層など、〝あらゆる層〟の人々が存在することだ。 かつては国費留学生などのエリートや、出稼ぎ目的の労働者と二極化していたが、近年はまるで「ミニチャイナ」の様相を呈している。 特に感じるのは、日本人と接触しない在日中国人が増えていることだ。日本に住んでいるのに、日本語を話せなくても全く不自由せず暮らしていける「中国人経済ネットワーク」が既に形成されているからだ。 背景にはインターネット、特にSNSの存在がある。中国では14〜15年頃から独自のSNSである微信(ウィーチャット)が本格的に普及したが、それはすぐに在日中国人にも浸透した。彼らは中国に住む親戚や友人らとウィーチャットでつながるだけでなく、日本国内でも、これまで接点のない人同士でつながるようになり、無数の中国人コミュニティーが出来上がったのだ。 加えて、中国政府が厳しいゼロコロナ政策を実施していた22年頃以降、中国の政治リスクや経済の悪化、社会不安などを背景に、日本に「潤」(移住、移民などを意味する隠語)する富裕層が増えたことも大きい。