農業分野で「特定技能」の在留資格を持つ外国人を資格外の別業種で働かせたとして、警視庁国際犯罪対策課は11日、人材派遣会社「スクラムヒューマンパワー」(山梨県笛吹市)代表取締役、日原達仁(ひはらたつひと)容疑者(54)=笛吹市=ら4人を入管法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕したと発表した。 特定技能は、人手不足が深刻な産業で外国人労働力を受け入れる制度で2019年4月に創設された。現在は介護や農業、建設業などの16分野で就労が可能。 日原容疑者らは、即戦力と位置づけられる「特定技能1号」で農業分野の在留資格がある外国人を、宿泊施設や病院に寝具などを供給する「リネンサプライ分野」に違法に派遣していたとされる。22年12月~25年6月、約120人の外国人を仲介し、少なくとも約7000万円の利益を得たとみられる。 他に逮捕されたのは、外国人を受け入れていた笛吹市の「小林リネンサービス」役員、小林幹生(かんせい)(47)=同県甲斐市▽スクラム社の経理担当、小泉幸男(51)=同県甲州市▽同社外国人従業員担当、大久保信(まこと)(47)=甲府市=の3容疑者。法人としての両社も同容疑で書類送検された。 逮捕容疑は4人は共謀して、24年10月~25年6月、特定技能の農業分野で在留するインドネシア国籍の男性3人を、資格外と知りながら小林リネン社のクリーニング工場に派遣したとしている。 日原容疑者は「農業の仕事が無い時はクリーニング業で働けると思っていた」と一部否認。小林、小泉両容疑者は容疑を認め、大久保容疑者は「不法就労に積極的に加担した認識はない」と否認しているという。 警視庁によると、スクラム社は特定技能の外国人の住宅確保や生活相談などの支援をする機関として出入国在留管理庁に登録されている。この立場を悪用して対象外の業種へ人材をあっせんし、手数料を得ていたとみられる。 警視庁は6月、小林リネン社のクリーニング工場で資格外で働いていたインドネシア人3人を入管法違反の疑いで逮捕。入管と合同で他に29人の外国人を資格外の分野で働いたとして摘発した。リネンサプライ分野は、現行の特定技能の16分野に含まれていない。 スクラム社は、東京都と千葉県のリネンサプライ業の2社に対する資格外の外国人あっせんにも関与した疑いがあるとみられる。【朝比奈由佳】