外免切替厳格化 制度の抜け道解消も試験不正など新たな懸念 専門家「対策、継続を」

1日から審査が厳格化された「外免切替」制度を巡っては、免許を取得した外国人による重大事故が相次ぎ、観光目的の短期滞在でも取得できることや、審査基準の甘さが指摘されていた。厳格化で、こうした〝抜け道〟は一定程度解消されるとみられるが、偽造書類による運転や試験での不正など、新たな懸念も浮上している。 「日本で車をレンタルしたかった」。9月、台湾の偽造運転免許証を使って日本での運転に必要な翻訳文を不正に申請したとして逮捕された中国籍の男女2人は、警視庁の調べにこう供述した。 道路交通に関するジュネーブ条約の加盟国は、国際免許により日本で運転することが可能だが、中国など非加盟国では外免切替などが必要となる。ただ、非加盟国でも台湾など6カ国・地域の免許証を取得している場合、日本自動車連盟(JAF)などが作成する、その免許証の日本語翻訳文を携帯すれば運転が可能で、この仕組みが悪用されたとみられる。 外免切替の試験中の不正も発覚した。大阪府警は8月、問題を解く様子を小型カメラで撮影しSNSに投稿したなどとして、偽計業務妨害容疑で中国籍の男を摘発。動画はほかのSNSにも転載され、約3万回再生されたものもあった。 新たな懸念も浮上する中、相次ぐ外国人による交通事故への現実的な対策も求められている。山梨大大学院の伊藤安海教授(交通科学)は「根底にある『日本と違う環境で運転していた外国人が日本で運転することの危険性をどう減らすか』という対策は継続する必要がある」と強調。外国人らが厳格化された制度の下で基本的なルールを学ぶだけでなく、日本の運転文化や交通環境を理解する必要があると話す。 外免切替の技能確認は教習所内のコースのみで行われることから、伊藤氏は、公道での運転についても「教育を受ける機会があってもよいのではないか」と指摘。警察が収集している事故や違反のデータについて「国や地域によってどのような事故や違反が多いかなどの傾向分析や共有が行われれば、専門家らが対策の提案につなげることもできる」とも訴えた。(橋本愛)

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