警察官などをかたって金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」の被害が香川県内で相次ぎ、県警が注意を呼びかけている。 県警捜査2課によると、今年の県内の特殊詐欺による被害は8月末までに234件(前年同期比109件増)で、被害額は約7億9900万円(同約4億4500万円増)だった。そのうち、捜査名目のニセ警察詐欺による被害は85件。被害額は約6億800万円にのぼり、特殊詐欺全体の約8割となった。 若い世代の被害が多いのが特徴で、年代別の被害のうち、最多は20代で23件だった。金銭をだまし取られた上に「身体検査」と称してSNSでのビデオ通話中に裸にさせられる被害も確認されているという。 これまでも警察官を名乗る詐欺はあったが、昨年以降、手口が巧妙になっているという。 これまでは、自宅の固定電話に着信があり、家族が事件や事故に関わっているとして示談金名目でだましとられるケースが多かった。 一方、昨秋から急増しているのは、個人の携帯電話にかかってくるパターンだという。「あなたが犯人の疑いがある」などとして、ビデオ通話での「捜査」に誘導し、取り調べと称して金銭を送金させる。この過程でニセの逮捕状や警察手帳を見せることでより信用させやすくしているという。 県警も対策に動いている。高松北署は8月から「メッセージアプリで連絡」「預貯金全額の移し替え」など、ニセ警察詐欺の特徴を記した啓発カードを約1万枚作製し、イベントなどで配布を始めた。また、スーパーでの注意喚起の放送も依頼しているという。 県警の担当者は「警察官がビデオ通話で捜査をすることはなく、現金を要求することもない」として、警察官などを名乗る電話があった場合は、所属などを確認した上で電話を切り、自分で調べた警察署に相談するよう呼びかけている。(木野村隆宏)