「いまでも5日というのは苦手」。2004年10月5日。広島県廿日市市で女子高校生が殺害された事件から21年を迎えました。長く未解決だったこの事件。風化を防ぐため父親が続けてきたブログが、9月で幕を下ろしました。やめることに悩んだといいますが、「娘は常に横にいる」と語ります。事件と向き合い続ける家族の思いです。 「土日は農繁期を迎えたら農作業をする。普通の人と全く変わらない生活をしていますね」 そう穏やかに話すのは、北口忠さんです。 21年前、当時高校2年生だった長女・聡美さんが、自宅に侵入してきた男に刃物で刺され殺害されました。聡美さんの悲鳴を聞いて駆けつけた祖母も背中などを切られ、一時意識不明となる大けがをしました。 ■事件は未解決のまま… 事件は長く未解決のままでした。忠さんは捜査員らと一緒に情報提供を求めるチラシを配り続けました。 北口忠さん 「何でもいいので情報提供をしていただきたい。その前に風化してしまうと、忘れられた事件ほど、残された被害者家族はつらい思いしかない。情報提供できなくても、解決するまでは皆さんに覚えていてほしいという思いが大きかった」 事件発生から1年後の2005年。情報提供を求めて始めたのが「ブログ」でした。事件を風化させないため、毎日、毎日、更新しました。 ■事件から13年半が経ったとき… そして発生から13年半が経った2018年…。事件は大きく動きました。 記者レポート(当時) 「午前6時24分、男が自宅から出てきました、車に乗り込みました」 警察は山口県宇部市の男を逮捕。その後の裁判で無期懲役の判決が確定しました。 2020年、裁判が終わったあと、忠さんはブログにこのように綴っていました。 忠さんのブログより 「皆さん、4月2日で長い闘いは終わりました。3月18日の判決で『娘には落ち度はなく、一方的に被害にあった』と裁判長が、判決文の中で言われましたので汚名を晴らせた!と感じました」 「でも世の中には『命を奪われてしまう悪い女性』と思われる人が存在しているでしょうから、一人でも多くの人に「突然、命を奪われた優しい女性」だと必ず考え方を変えて頂けるように、私が頑張るべき事だと思っています」