自民党が新総裁に選んだのは、タカ派色が強く、安倍晋三元首相の「後継」を自任する高市早苗前経済安全保障担当相だった。野党に流出した岩盤保守層を奪還し、戦後最長の長期政権を築いた安倍政権への回帰を目指す党内世論の表れだ。初の女性総裁として刷新感も期待され、党再生を託された高市氏。だが、言動や政治姿勢を不安視する見方は党内外にあり、衆参で少数与党の政権運営がさらに厳しくなる可能性をはらんでいる。 「これでまた保守の支持は戻ってくる。安倍さんの時代に戻るよ」。高市氏が総裁に選出された4日、陣営のある幹部は高揚感を隠さなかった。 高市氏は自身を安倍氏の「後継」と位置付ける保守強硬派。伝統的な価値観や国家観を重視し、総裁選では、選択的夫婦別姓制度の導入に慎重姿勢を貫き、外国人による土地取得の規制強化やスパイ防止法の制定を訴えた。「責任ある積極財政への移行」も掲げ、先端技術分野への財政出動や軽油引取税の引き下げも主張した。