「共連れ」に遭った大学生女性 自宅マンションのオートロックすり抜けられ、エレベーターで見たことのない中年男性と2人きりに「恐怖で何も考えられなかった」

神戸市中央区のマンションのエレベーターで8月に住人女性(24)が襲われ刺殺された事件は、住人の後をつけ、続いてオートロックをすり抜ける「共連れ」のリスクを浮き彫りにした。広島市内の大学生女性(20)はこの夏、「共連れ」に遭い、中国新聞の取材に「恐怖で何も考えられなかった」と明かす。暮らしの身近に潜む危険。広島県内でも似た手口の事件が発生し、県警は細心の注意を求めている。 7月中旬。市内の女性は大学を出て午後9時ごろ、自宅マンションに着いた。いつものようにオートロックを解錠し、エントランスへ。扉が閉まりかけた時、中年男性が続いて入ってきた。住んで1年以上になるが、見たことのない人だった。 その先のエレベーターでは男性と2人きりに。出入り口側に立った男性はなぜか階数ボタンを押さない。「別の階で降りようと思ったけど押せなかった…」と女性。恐怖心が高まる中、居住階に着いたが男性は降りようとせず、一瞬ドアをふさぐような体勢を取った。「襲われる」―。女性は意を決して飛び出し、自室へ走った。「わずかな時間が長く感じた」 女性は以来、帰り道では後ろを小まめに振り返り、オートロックの扉が完全に閉まるのを確認して乗るようにしている。 こうした「共連れ」に遭った人は少なくない。パナソニック(東京)が4月にオートロック付きマンションに暮らす男女800人に尋ねた調査で、26・6%が「不審者の共連れに遭ったことがある」と回答した。 神戸の事件では、逮捕された男(35)が「共連れ」でマンション内に侵入する前、数キロにわたり被害女性を尾行していたことも判明している。 広島県内では9月16日夕、無職男(38)が呉市の10代女性を尾行して集合住宅のエレベーターに侵入し、わいせつ行為をしようとして首を絞めるなどした事件が発生。男は抵抗されて逃走したが、呉署は防犯カメラ映像などから男を特定し、翌17日に不同意わいせつ未遂容疑で逮捕した。同署によると、男は女性と面識がなかった。 身の安全をどう守ればいいのか―。県警の直原順一・減らそう犯罪情報官は、帰宅時はなるべく明るく人通りが多い道を選ぶよう求め、「しばしば周囲を確認し、警戒しているとのサインを出すのが有効」と強調する。 仮にエレベーターなどで不審者と2人きりになりそうな場合は「電話をするふりをしてその場をやり過ごして」。ヘッドホンやイヤホン装着、歩きながらのスマートフォン操作はつけられていることに気付きにくいとして注意を促している。

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