三菱UFJ元行員に懲役9年判決 貸金庫で窃盗繰り返す 東京地裁

三菱UFJ銀行の支店の貸金庫から顧客の金塊や現金を盗んだとして、窃盗罪に問われた元行員の山崎(逮捕時は今村)由香理被告(47)に対し、東京地裁(小野裕信裁判官)は6日、懲役9年(求刑懲役12年)とする判決を言い渡した。 被告は2023年3月から24年10月、勤務先の貸金庫から、顧客の金塊29個(時価総額約3億3千万円相当)や現金約6千万円、旅行券50枚(計25万円分)を盗んだとして起訴された。被告は起訴内容を認めていた。 検察側は、被告が支店で貸金庫の管理業務を担うようになった20年ごろから、外国為替証拠金取引(FX)などによる多額の借金を穴埋めするため、顧客の金品を盗むようになったと説明。起訴されていない分を含めると、被害総額は約14億円、被害者は70人に上るとも述べた。 検察側は、被告が金品を盗んだ貸金庫に、別の貸金庫から盗んだ金品を入れて発覚を遅らせており「顧客からの信用を裏切り、非常に悪質だ」と指摘。金融機関全体の信用を揺るがしかねない犯行だと主張した。 弁護側は、被告は犯行を認めており、借金の原因になったFX取引や競馬をやめると約束しているとして、懲役5年が相当だと述べていた。 この事件は24年10月、貸金庫の利用客から三菱UFJに「預けた現金がなくなっている」と相談があり発覚した。銀行は同年11月に被告を懲戒解雇し、公表した。 その後、みずほ銀行などでも貸金庫の窃盗事件が起きていたことが判明した。 金融庁は今年5月、銀行などへの監督指針を改定し、貸金庫の保管対象から現金を除外するよう求めた。全国銀行協会も6月、銀行が貸金庫サービスの規定を作る際に参考にする「ひな型」を改正し、現金を「格納できないもの」とした。(森下裕介)

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