【AFP=時事】ドナルド・トランプ米大統領(共和党)は8日、「外国人犯罪者」一掃作戦に抵抗するイリノイ州のジェイ・プリツカー知事(民主党)とシカゴのブランドン・ジョンソン市長(民主党)の収監を要求した。前日には同作戦を強化するため、テキサス州兵がイリノイ州に到着している。 イリノイ州最大で全米第3の都市であるシカゴは、トランプ氏による不法移民数百万人の国外追放作戦において、新たな火種となっている。この作戦は、人権侵害の疑惑や数多くの訴訟を引き起こしている。 作戦を主導する移民・税関執行局(ICE)は、民主党支配都市に覆面捜査官を派遣して強制捜査を実施している。多くの住民が反発し、連邦施設前では抗議デモが繰り広げられている。 トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「シカゴ市長はICE捜査官を保護しなかったので、刑務所に入るべきだ! プリツカー知事もだ!」と投稿した。 地元当局は、抗議デモへの対応は市と州の法執行機関だけで十分だと主張する一方、トランプ氏は連邦捜査官の安全を確保するには州兵が必要だと主張し、権威主義の高まりを批判する人々の懸念を強めている。 ロサンゼルスと首都ワシントンに州兵が配備された後、7日には州兵200人がイリノイ州に到着した。 2028年大統領選の民主党候補になり得ると目されているプリツカー氏は、トランプ氏を最も痛烈な批判する一人だ。 8日にはX(旧ツイッター)への投稿で「決して引き下がらない」と誓い、トランプ氏の不法移民取り締まりに対する不満を列挙した。 「市民権を証明する書類を携帯する必要があると人々に感じさせること。州兵を投入してイリノイ州を侵略すること。真夜中に軍用ヘリコプターを送り込むこと」を例に挙げた。 さらに、「本格的な権威主義への道に、他に何が残されているというのか?」「私たち全員が立ち上がり、声を上げなければならない」と訴えた。 「軍用ヘリコプター」とは、先週の大規模な強制捜査に軍用ヘリコプター「ブラックホーク」が投入されたことを指す。 トランプ政権によると、この強制捜査で数十人が逮捕されたが、米メディアは米国市民が数時間にわたって拘束されたと報じている。 ジョンソン市長はその後、「ICEフリーゾーン」を設定し、市有地への連邦当局の立ち入りを禁止すると発表。共和党が「南北戦争の再戦」を望んでいると非難した。 トランプ氏の不法移民取り締まりは、米国から「外国人犯罪者」を一掃するという重要な選挙公約の実現を目的としている。【翻訳編集】 AFPBB News