2025年10月にNetflixに追加された注目映画10作品

ここ数年からの大きな変化のように感じられるが、10月のNetflixのラインアップにはホラー映画があまり多くない。これは(筆者のような)怖い映画のファンにとって残念な知らせかもしれないが、今月、Netflixで観ることができる新作映画に優れたものがないという意味ではない。むしろ豊作だ。 コリン・ファレル主演の雰囲気に満ちた“ポップ・オペラ”から、キリアン・マーフィが主演する静かな日常派の人物劇まで、同プラットフォーム発の豪華キャストによる新作が複数並ぶ。さらに、秋の夜長にうってつけの旧作もそろい、忘れられたゴシック調のファンタジーから唯一無二のドラキュラ伯爵を描く古典まで幅広い。これらの映画(と他多数)が、今月からNetflix加入者に新たに提供される。 では、この充実のラインアップをどこから始めればよいのか。ここでは、今月のウォッチリストに入れるべき10本の注目作を挙げる。各作品にはあらすじ、予告編、視聴可能日などの詳細を付した。記事の最後には、今月Netflixに追加される全映画のリストも掲載している。 ■1.『端くれ賭博人のバラード』(Ballad of a Small Player, 2025) アカデミー賞はエドワード・ベルガーの大河戦争映画『西部戦線異状なし(All Quiet on the Western Front)』に国際長編映画賞を与え、BAFTA賞は監督賞を彼に授与した。『教皇選挙(Conclave)』も手がけたドイツ人監督ベルガーに世界の注目が集まる中、Netflixの『端くれ賭博人のバラード』でコリン・ファレルが主役の座に就く。 ローレンス・オズボーンの小説に基づくスタイリッシュな新作心理スリラーで、不名誉を被った弁護士ロード・ドイル(ファレル)が、負債と過去を溺れさせるべくマカオのネオン瞬くカジノへ逃れる物語だ。テーブルの流れがドイルにとって不利になるなか、彼はダオ・ミン(ファラ・チャン)という謎めいた女性と出会う。彼女は救済への唯一の望みか、あるいは破滅かもしれない。 ティルダ・スウィントンも、ドイルの過去から彼を逃がさない人物として出演する。華やかさ、焦燥、心理的な駆け引きが混ざり合うこの“ポップ・オペラ”は、今年のNetflix作品の中でも屈指の雰囲気作といえる。短い劇場公開を経て、10月29日にNetflixで世界同時配信となる。 ■2.『スティーヴ』(Steve, 2025) 俳優がアカデミー賞の主演男優賞を受賞した後に何を選ぶかはいつも興味深い。『オッペンハイマー(Oppenheimer)』での受賞から間もないキリアン・マーフィは、大作ジャンル映画と静かな作品を行き来し、『28年後…(28 Years Later)』のようなポストアポカリプス・ホラーから『Small Things Like These』のような歴史劇まで幅を広げてきた。後者の監督ティム・ミーランツが手がけた最新の日常劇が『スティーヴ(Steve)』だ。 マックス・ポーターの小説『Shy』を再解釈した本作で、マーフィは1990年代半ばのイングランドにある苦境の更生学校の校長スティーヴを演じる。張りつめた一日の間に、彼は官僚主義の崩壊と格闘し、問題を抱える生徒たちを支援しつつ、自身のメンタルヘルスとも向き合う。同時進行で、彼の保護下にある激情的な10代の少年シャイ(ジェイ・ライカーゴ)が、苦悩と希望の並走する旅路をたどる。 マーフィの制作会社Big Things Films(ビッグ・シングス・フィルムズ)による製作で、ライフワーク的熱量のこもった企画に感じられる。壊れた制度のなかでケアの脆さを見つめる、地に足のついた感情的に生々しいドラマだ。

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