「ビットコイン・ジーザス」ロジャー・バー、脱税巡り起訴猶予合意。最大4,990万ドル支払いへ

「ビットコイン・ジーザス(Bitcoin Jesus)」の名で知られる初期暗号資産(仮想通貨)投資家ロジャー・バー(Roger Ver)氏が、脱税容疑を解決するために、最大4,990万ドル(約75億4,000万円)を支払うことで和解することに合意した。米司法省(U.S. Department of Justice)が10月14日に提出した法廷文書で明らかにした。 バー氏(46歳)は今年初め、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に対し「このロー・フェア(lawfare:法的な嫌がらせ)を終わらせる手助け」を公に訴えていたが、その後、ロサンゼルスの連邦地裁で、郵便詐欺(Mail Fraud)および脱税(Tax Evasion)容疑を巡る起訴猶予合意(Deferred Prosecution Agreement:DPA)を締結した。 バー氏は、結局トランプ大統領から恩赦は得られなかったものの、暗号資産業界に友好的な姿勢を示してきた同政権との今回の合意により、仮に裁判で有罪になり得たとしても、服役を回避できる見通しとなった。 この合意でのバー氏に対する起訴状は、同氏が合意条件を順守すれば1か月後に取り下げられる。その条件下では、内国歳入庁(IRS)が最大4,990万ドル(約75億4,000万円)を徴収できる。なお同額には税負担、民事制裁金、利息が含まれる。 バー氏の弁護を務めたのは、トランプ大統領の代理人も務めた弁護士クリストファー・カイズ(Christopher Kise)氏である。バー氏の合意書に記載された司法省の担当上級官僚は、ケタン・ビルード(Ketan Bhirud)副司法長官付補佐官(Associate Deputy Attorney General)で、同氏は政権入り前に大統領の長女イヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)氏の訴訟代理人も務めていた。 バー氏は声明で「本件が却下されたことに非常に感謝する。最終的な解決に向けて尽力してくれたトランプ政権のリーダーシップとプロフェッショナリズムに敬意を表する」と述べた。 バー氏はかつてデジタルウォレット開発企業ビットコインドットコム(Bitcoin.com)の最高経営責任者(CEO)を務めた人物で、2011年からビットコインの取得と積極的な普及活動を行ったことで「ビットコイン・ジーザス」の異名を得た。 バー氏は2024年4月にスペインで逮捕された。司法省が起訴状を公表したためだ。起訴状によれば、同氏は2014年にセントクリストファー・ネイビス(St. Kitts and Nevis)の市民権を取得した後、米国籍を放棄したが、少なくとも4,800万ドル(約72億5,300万円)の税金を納めていなかったとされる。 ※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。 ‘Bitcoin Jesus’ strikes deal with Trump administration to resolve US tax charges (Reporting by Nate Raymond in Boston and Sarah N. Lynch in Washington; Editing by Chizu Nomiyama and Lisa Shumaker) 翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)

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