26日に投開票される神奈川県の鎌倉市長選は5選をめざす現職と新顔の3人が争う。立候補した4人の横顔を紹介する。(届け出順)(村上潤治) ■被災者生まぬ社会に 栗原絵里子氏(56)無新 2011年の東日本大震災で価値観が一変した。地震が起きた午後2時46分にアラームをセット。携帯が鳴るたびに被災地のために何ができるのか、14年間、自問自答してきた。 1級建築士として、避難所で被災者が人の目を気にせず、お茶を飲めるように箱形をした小さな休憩所を設計試作した。前例がないと受け取ってもらえなかった。 「被災者を生まないために政治家になる」。翌年、政治塾に飛びこんだ。国政にも挑戦した。 鎌倉市議は8年半務めた。庁舎移転反対の「筆頭格」と自負する。支援者は「大きな風が吹いても竹のようにしなる。信念で動いてくれる人」と評価する。 保護猫3匹と同居し、猫の顔をイメージしたピンク色の軽ワゴン車に乗る。 ■人のため役立ちたい 松尾崇氏(52)無現 人生に迷っていた時に政治家の話を聞き、自分の足で社会を変えられると感じた。「人のために役立つことを人生をかけてやりたい」。衝動的に政治の道に飛び込んだ。 27歳で鎌倉市議選でトップ当選。県議選、市長選と無敗だ。政党に属さず組織だった後援会もない。応援の中心は個人のつながりだという。 4期16年で悔しかったことに、庁舎移転をめぐる議会の位置条例否決をあげる。「いけると思ったがまさか否決されるとは」。反対派とも対話を重ねてきた。「次の4年で道筋をつける」 鎌倉学園高では山岳部で関東大会優勝メンバーだ。いまはジョギングが唯一の息抜き。国道134号の海岸線を腰越から稲村ガ崎、由比ガ浜まで往復15キロのコースを20年間走り続ける。頭が整理でき、心が落ち着くという。 ■造園経験、緑の保全を 梅沢保雄氏(73)無新 造園会社の経営を退き、6年前から福祉農園で毎日、精神疾患の障害者とブルーベリーなどをつくる。「市役所に頼んでも動いてくれない。何とかして」。畑にくる地域の人に頼まれて出馬を決めた。 造園の経験から緑の保全を訴える。「遠くから見れば山はきれいだが中は荒れている。温暖化による自然発火で山火事が起きれば大災害になる。その前に何とかしたい」 高校の時に空手と日本拳法を始めた。その縁で23歳でメキシコへ。5年間、午前中は現地の司法警察官に逮捕術と護身術を教え、夕方から道場で地元の人たちを指導し、道場破りを撃退したことも。聴覚障害がある教え子と手話で会話した経験がいまも生きている。 5年前に健康と認知症予防で始めたというピアノが趣味だ。月3~4回レッスンを受けている。 ■生活豊かに、模索する 広瀬浩一氏(61)無新 小田原市で生まれ育ち、社会人になり三菱電機の鎌倉の工場に配属された。それから37年間、鎌倉に住み続けて、「鎌倉で教えていただいたすべてを織りこみ生活が豊かになる方法を模索したい」。 計算機のハードウェアの設計、システムエンジニア、ITコンサルタントとして働き、再雇用で嘱託社員になったことなどから「セカンドキャリアを迎え、一番タイミングがよかった」と立候補を決意した。 市長と市議会議員はボランティアとし、無報酬にすることを公約に掲げる。 ヨット、スキューバダイビング、オートバイのツーリング、キャンプなど趣味はアウトドア派だ。北方謙三、落合信彦、堺屋太一の著書を愛読し、漫画「鋼の錬金術師」を人生のバイブルとする。