「俺、13歳と遊べるなら仕事休むレベル」 39歳の男はマッチングアプリで知り合った女子中学生Aさん(事件当時13歳)にこうメッセージを送り、ドライブに行こうと誘い出したのだった。 「医療事務・鈴木勇樹被告(39)はAさんに『マジで遊ぼう』などとメッセージを送信。’25年4月7日、自身の運転するレンタカーで埼玉県内を連れ回すなどして誘拐した疑いがもたれています。Aさんの父親がAさんの位置情報を確認したことで異変に気づき、事件が発覚。その後、Aさんは父親らに保護されています。’25年5月28日に埼玉県警は鈴木被告を未成年者誘拐の疑いで逮捕しました。鈴木被告は『年下の女の子が好きで遊びたかった』と容疑を認めています。 その後、鈴木被告のスマホから別の中学生Bさん(事件当時13歳)と性交している動画データ2点が発見されたことから、埼玉県警は7月17日、不同意性交等などの疑いで再逮捕しました」(全国紙社会部記者) 10月21日、さいたま地裁で鈴木被告の初公判が開かれ、即日結審した。鈴木被告はAさんへの未成年者誘拐、Bさんへの不同意性交等・性的姿態等撮影・児童ポルノ禁止法違反の4つの罪に問われている。 検察官が読み上げた起訴状や冒頭陳述から明らかになった鈴木被告の卑劣な犯行は次のようなものだった。 「被告人は、遅くとも’20年ごろからインターネット掲示板やマッチングアプリ等を利用して、未成年女性をふくむ不特定多数の女性と連絡を取り合い、ドライブなどをしたり、性交等をしたりしていました。 ’25年4月初旬、マッチングアプリで知り合ったAさんが当時13歳の未成年者であることを知りながら誘拐しようと考え、『セフレの中学生もいるけど、お金を使う遊びとか、ドライブとか、そういうのできるの楽しいみたいだから、Aさんもマジで遊ぼう(笑)』とAさんにLINEでメッセージを送信して、自己のもとに来るように誘惑しました。 そして翌日、被告本人運転の車に乗せ、親権者に無断でAさんを連れ去り、自己の支配下に置いて午後0時ごろから午後4時ごろまで、埼玉県内を連れ回した後、Aさんに指定された駅まで送ったのです。 また被告人は4月下旬、マッチングアプリで知り合い、連絡を取り合っていたBさんが中学生と知りながら、千葉県内の立体駐車場に止めたレンタカーの車内で性交をするなどしました。さらに5月下旬にもBさんを再び呼び出し、立体駐車場に止めたレンタカーの車内で性交をするなどして、その様子をスマホで撮影・保存したのです」 ◆供述書につづられた保護者たちの怒り 起訴状や冒頭陳述には、娘の異変に気づき、すぐに行動を開始したAさんの両親の様子もつづられていた。 「Aさんの母親は、AさんからLINEで『友人と遊んでくる』と連絡を受けました。しかし、Aさんのスマホの位置情報を確認すると、埼玉県内で不自然な移動経路をたどっていたことから、娘は成人男性と会って車で移動しているのでないかと疑いました。 そこでAさんの父親が警察に通報。Aさんの父親と母親はスマホの位置を追い、Aさんの捜索を開始したのです。その後、父親が公園に一人でいるAさんを発見しました」 検察官が読み上げたAさんとBさんの保護者の供述調書には、どちらも鈴木被告に対する強い処罰感情が書き連ねられていた。 「社会のことを知らない子どもを成人男性が連れ回したことについて、親として怒りがあります。犯人を許すことはできません」(Aさんの母親) 「中学生の娘を性的対象とした犯人の男を許すことはできません。このような被害に遭ってしまったことに心底ショックを受けています。犯人が刑務所に入ったとしても、この怒りやショックが消えるわけではありません」(Bさんの母親) 鈴木被告は「間違いありません」と罪を認めている。この日に行われた被告人質問では、弁護人の質問に答えるかたちで「まだちゃんとした判断ができない年齢の女の子の、家族との信頼関係や将来に非常に悪い影響を与えた」と反省の弁を述べた。 また検察官の「未成年者と性交をすることに抵抗を感じなかったのか」という質問には、「当時は中学生との性交に抵抗を感じませんでした」と答え、今後は専門的な病院に通うことを約束したのだった。 ◆反省し、謝罪した被告だが… 続けて、論告弁論が行われた。 検察官は「被害者の人格を無視した卑劣な犯行」と指摘し、「被告人の規範意識が鈍麻していることは明らかで、再犯に及ぶ恐れは大きい」などとして「懲役6年」を求刑。 一方、弁護人は「いずれの被害者にも暴行や脅迫を行っておらず、Bと性交した際には避妊具を使用している」「被告人の母が同居して生活の監視管理を行うと述べており、更生環境が整っている」などと主張。「寛大な判決をお願いいたします」と述べた。 最終陳述で証言台に立った鈴木被告は号泣し、泣きじゃくりながら、こう述べたのだった。 「まず、自分が巻き込んでしまったAさんとBさん、そのご家族に対して、本当に申し訳ないことをしました。これから、周りの人たちの信頼を取り戻していきたいと思います。二度とこのようなことがないようにしたいと思います」 上下グレーのスウェットに長髪をちょんまげにして入廷した鈴木被告。公判では自分の犯した罪への後悔か、両手で顔をおおったり、涙を流すこともあった。だが、その一方で、被害弁償の申し出はしておらず、被害者やその保護者に対して謝罪文を書くことも考えなかったという。 5年以上の期間、マッチングアプリなどを使って何人もの未成年者と会ってきただけに、「保護者の同意なしに未成年者を誘い出せば罪に問われる可能性がある」ということが、今回のような事態を招くまで実感できなかったのだろうか。 判決は11月10日に言い渡される予定だ。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文・写真:中平良