1999年、名古屋市西区のアパートで主婦高羽奈美子さん=当時(32)=が殺害された事件で、安福久美子容疑者(69)が愛知県警に殺人容疑で逮捕されてから7日で1週間。 同容疑者はかつて、高校の同級生だった高羽さんの夫悟さん(69)に一方的に好意を寄せ、事件の約5カ月前に再会していた。なぜ突然の凶行に及んだのか。約26年を経て大きく動いた捜査は、動機の解明が焦点となる。 安福容疑者は、99年11月13日、西区稲生町のアパート2階一室で、高羽さんを刺殺したとして、先月31日逮捕された。 悟さんによると、安福容疑者は旧姓「山口」。悟さんは愛知県立高の同級生で、軟式テニス部で一緒だった。バレンタインデーにチョコレートをもらうなど好意を示されたが、やんわり断っていた。大学2、3年時にも試合会場で付きまとわれ、喫茶店で「困る」と諭すと、安福容疑者は諦め切れない様子で泣いていたという。 99年6月、テニス部同期会で約20年ぶりに再会した。安福容疑者から「私も結婚し、家事をしながら仕事もして大変」と声を掛けられた。おとなしかった雰囲気はがらりと変わり、悟さんは「僕のことは吹っ切れて良かった」と思い、以降は会うことがなかった。 事件が起きたのは約5カ月後。安福容疑者は高羽さんと2歳だった長男がいたアパートを突然訪れ、玄関のドアを開けた高羽さんを用意した刃物で襲ったとみられている。刺した際に自分の手も負傷し、洗面所で血を洗い流した痕跡もあった。 自分も子を持つ母だった安福容疑者。調べに「26年は毎日不安だった。家族に迷惑をかけられず、捕まるのが嫌だった」と述べ、「高羽さんには申し訳ない」と話している。県警はアパートの住所を知った経緯など事件の全容解明を進めている。