突如湧き出した黒煙、そこから飛び出してくる日本人――。2009年11月14日、韓国・釜山の繁華街・国際市場の中心地にある「ガナダラ実弾射撃場」で痛ましい火災が起きた。日本人観光客10人と韓国人ガイド・従業員ら5人が死亡、日本人1人が重傷という大惨事である。 日韓で大きく報じられたこの火災で、実は難を逃れた人物がいた。1968年2月20日、静岡県で暴力団員2人をライフルで射殺し、寸又峡温泉の旅館で宿泊客ら13人を人質にとって籠城した金嬉老(きん・きろう)元受刑者(2010年死去)である。借金トラブルに端を発した事件のはずが集まったマスコミに在日朝鮮人差別を訴え、物議を醸したことでも有名な事件だった。 日本へ二度と入国しないことなどを条件に仮釈放された1999年、韓国政府の助力で釜山に移住した金嬉老元受刑者。火災発生当時、ガナダラ射撃場の常連客になった経緯や移住後の生活を「週刊新潮」に明かしていた。 (以下、「週刊新潮」2009年12月3日号の記事を再編集しました) ***