状況証拠、どう判断 「たばこの吸い殻」が鍵か 王将社長射殺、26日に初公判・京都地裁

2013年に「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東隆行さん=当時(72)=が拳銃で殺害された事件の初公判が26日、京都地裁(西川篤志裁判長)で開かれる。 殺人などの罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会系組幹部、田中幸雄被告(59)は逮捕後に黙秘。弁護側は全面無罪を主張する方針だ。関与を裏付ける直接的な証拠が乏しい中、公判では被告の犯人性が争点となる見通し。裁判官が状況証拠をどう判断するかが注目される。 京都府警幹部は公判について、「事件直後、現場で発見された2本のたばこの吸い殻が大きなポイントになる」との見方を示す。 捜査関係者によると、吸い殻からは田中被告のDNA型が検出された。府警は、第三者が吸い殻を現場に置いた可能性がないか専門家に鑑定を依頼したところ、「湿った路面で火が消された」との分析結果が出た。事件当日、周辺は小雨が降り、路面はぬれた状態だったため、府警は「火は現場で消された」と推定した。 田中被告が吸い殻と同じ銘柄を愛煙していることや、毎朝被害者が掃除をする現場に吸い殻が落ちており、捨てられた日時が限られることなども突き詰めた。こうした状況などから、同被告が当時、現場におり、「ほかの人物による銃撃はあり得ない」と断定した。 ただ、府警幹部は「被告と被害者の直接的な接点は確認されていない」として、事件の背景や動機は未解明の部分があると明かす。 別の幹部も、大東さん宅周辺の防犯カメラに事件前日、田中被告と似た人物が映っていたなどとする状況証拠の積み上げによる立証が余儀なくされるとの見方を示し、「厳しい裁判になるだろう」と指摘。「今ある証拠でどれだけ勝負できるか。一つ一つを深く突き詰め、強固なものにしていくことになる」と語る。 府警は、田中被告に犯行を指示した人物がいるとみて、工藤会が拠点を置く福岡県警と連携し、捜査を続けている。府警の枡田栄次捜査1課長は「全容解明に向け、引き続き捜査をしていく」と話している。

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