【横浜女性殺害】「あの家に女性が住んでいたとは」…74歳容疑者と同居していた29歳女性の“関係”

「人を殺した」 74歳の男は同居していた女性を殺害したと、自ら警察に電話したという。しかし、周辺の住人の多くは「あの家に女性が住んでいたとは知らなかった」と口をそろえるのだった──。 「11月13日、神奈川県警神奈川署は、店舗を兼ねる自宅で、同居する志田碧(あおい)さん(29)の首を締めて殺害したとして、横浜市神奈川区の飲食店経営者・田辺広容疑者(74)を殺人の容疑で逮捕しました。田辺容疑者は容疑を認め、『志田さんとは数年前から同居していた』『志田さんが死にたいと言っていた』と話しているということです。 田辺容疑者は午前7時15分ごろに志田さんの首を絞め、その約30分後に110番通報。志田さんは搬送先の病院で死亡しました。田辺容疑者は志田さんについて、『知り合いの娘を預かった』と供述しているということです」 事件が起きた13日の朝の様子について、「パトカーの音がどんどん近づいてきて、私の家に向かってきてるのかと思った」と話すのは、すぐ近くに住む70代の女性だ。 「朝、8時ごろにものすごいサイレンの音がして外を見たら、パトカーが10台くらいいて、救急車も見えました。この辺り一帯に規制線が張られて、何が起きたのかと思ったんです。そのうちストレッチャーに乗せられた若い女性が救急車で運ばれていきました。女性は顔が真っ赤で、充血しているように見えました」 その後、報道で田辺容疑者が自宅で女性を殺害したと知ったという。しかし、「女性の姿は見たことがない」と驚きを隠せない様子でこう話した。 ◆気さくな人柄だったという田辺容疑者 「田辺さんのご自宅は、入り口が大通りに面したひとつだけなんです。出入りがあれば、なんとなく目に入るのですが、ここ10年近く、田辺さんの家を女性が出入りしているのを見たことがありません」 殺害現場となった店舗兼自宅には、田辺容疑者の祖父の代から住んでいたと、近くに住む男性は説明してくれた。 「あの家(事件現場)にはヒロシさん(田辺容疑者)のおじいさんの代から住んでいて、以前はヒロシさんのお父さんが散髪屋をやっていました。その後、ヒロシさんのお兄さんが散髪屋を継いだのですが、どちらも他界したので、中央卸売市場で働いたり、料理店で修行していたヒロシさんが居酒屋を始めたんです。もう10年以上前になりますよ。ヒロシさんは気さくな人柄で、店の前で知り合いに会うと、『こんにちは』と声をかけてましたね。ただ、ここ1週間ほど、店を開けてなかったんですよ」 店の評判は上々だったようで、近所に住む男性も「よくお店の前にタクシーが止まっていました。この辺はあそこしかお店がないので、わざわざタクシーで食べに来るお客さんがいたようです」と話す。 また、町内会の会合で何度か訪れたことがあるという80代の男性も、田辺容疑者の店について、こう振り返る。 「もう5年以上も前ですが、何度か会合で利用したことがあります。毎日、市場に仕入れに行ってるとかで、魚は新鮮でおいしかったですよ。ただ小さい店なので、あまり多く仕入れないのか、夕方5時から6時ごろにお店が開いて、早いと9時前には看板の灯が消えていました」 田辺容疑者とは多少なりとも付き合いがあったものの、近隣の住民の多くが「若い女性が住んでいるとは知らなかった」と話す。そんななか、「(志田)アオイちゃんは、ウチの娘と中学の同級生でした」という男性が、取材に答えてくれた。 ◆被害者の母親が田辺容疑者と交際か 「新聞で『志田碧』の名前を見つけたときは驚きました。アオイちゃん、そこにいたんだって。ウチの娘と中学校の同級生で、仲が良かったんです。よくウチにも遊びに来ていましたが、ごく普通の明るい、いい子でしたよ。両親が離婚してお母さんと暮らしていたんですが、お母さんが田辺さんと付き合っていたようなんです。アオイちゃんのお母さんは肝臓かどこか、体が悪かったらしく、田辺さんの店のカウンターで飲んでて、朝になったら亡くなっていたということです。 ちょうどアオイちゃんが成人式を迎える前のことでした。そのせいか、ウチの娘は成人式に晴れ着で出ましたが、アオイちゃんは私服で参加していました。そのあとぐらいから、連絡が取れなくなったようなんです。たしか、おばあちゃんがいるとは聞いていたんですが……。結局、身寄りがなくって、田辺さんが面倒みてたのかもしれないですね。まさかお母さんが亡くなった同じところで娘が亡くなるなんて、なんか運命というか……」 成人式の日に撮ったという、晴れ着姿の友人たちと手をつなぐ志田碧さんの写真を見せてもらった。赤いニットの上に黒のジャケットを羽織り、切れ長の目で微笑む姿が写っていた。田辺容疑者の話に従えば、志田さんはこの日から約10年後、同居していた母親の元交際相手に「死にたい」と頼んだことになる。 11月14日の午前10時ごろ、田辺容疑者は神奈川署から検察庁に身柄を送られた。護送口から姿を現した田辺容疑者は、報道陣に目を向けることなく、護送車に乗り込んだのだった。 捜査はまだ始まったばかりだが、田辺容疑者の供述以外に手がかりがないなか、今後真相が明らかになる日がくるのだろうか。 取材・文:中平良

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