「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」受賞結果&総評

今月12日から愛知県名古屋市で開催された「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル(ANIAFF)」が17日に閉幕。最終日に、国際コンペティションの結果発表が行われた。 第1回にもかかわらず、29ヶ国から45本の長編作品の応募があり、11本が選出され、期間中に上映された。栄えある最高賞・金鯱賞には、9年もの歳月をかけて制作された、白人の弟が先住民である兄にインタビューをする様子を描いた異父兄弟をめぐるドキュメンタリーアニメーション『エンドレス・クッキー』(セス・スクライヴァー、ピーター・スクライヴァー監督/カナダ)が選ばれた。 銀鯱賞は、『燃比娃(ランビーワ)‐炎の物語‐』(ウェンユー・リー監督/中国)。観客賞は、『ひゃくえむ。』(岩井澤健治監督/日本)が受賞した。 また、アニメーション文化の発展を目指すための事業のひとつとして、スタッフの才能・業績を世に知ってもらう一助として、個人賞(カキツバタ賞、ユリ賞)とスタジオ賞(ハナノキ賞)の顕彰も実施。 個人賞のひとつで、愛知県の県花であるカキツバタに由来した【カキツバタ賞】には、ロトスコープの特徴を生かしたアニメーション映画『音楽』を自主制作で作り上げ、『ひゃくえむ。』の監督を務めたほか、『無名の人生』もプロデュースし、常に新たな表現に取り組む岩井澤健治監督が選ばれた。岩井澤監督は、観客賞と個人賞のダブル受賞となった。 同じく個人賞で、名古屋市の市花であるユリに由来した【ユリ賞】 には、『ダンダダン』『ルックバック』「ジョジョの奇妙な冒険シリーズ」『BLUE GIANT』など、数えきれないほど多くのアニメ作品において編集を担当してきた廣瀬清志氏を選出。 そして、スタジオ賞として愛知県の県木であるハナノキに由来する【ハナノキ賞】 には、富山県南栃市に設立されて以来、『有頂天家族』 や『SHIROBAKO』、『さよならの朝に約束の花をかざろう』、『駒田蒸留所へようこそ』といった多彩な作品を生み出し、『花咲くいろは』では作中にあった架空のお祭りが実際に実施され地域に根付くなど、地域の発信・活性化としても大きな業績を残してきたP.A.WORKSが選出された。 会期中は、世界各国・地域からジャンルや表現方法を超えた50本以上のアニメーション作品が、名古屋市内の上映施設で上映されたほか、多数のトークイベントやシンポジウムなどアニメーションを検証する場も数多く設けられ、企画構想段階にあるアイデアをプレゼンし、語り合う場として注目の企画マーケットも開催された。 開会式につづいて、閉会式にも登壇した大村秀章愛知県知事は「世界各国から集まった才能あふれるクリエイターの皆様、そして、アニメーションを愛する観客の皆様の熱意と協力に支えられ、この映画祭は大変意義深いものとなりました。スクリーンに映し出された作品の一つ一つが、私たちに新たな発見と感動を与えてくれました。アニメーションという言葉を超えた表現が持つ、人と人を繋ぎ、そして文化を繋ぐ力を改めて感じております。愛知県では伝統文化を継承するとともに、新しい表現や創造活動の発展にも取り組んでおります。この映画祭が皆様の新たな挑戦を後押しし、国際的な飛躍へと繋がることを心から願っております」とコメント。 広沢一郎名古屋市市長は「アニメーションを通じた表現は、言葉や国境を越えて、人々の心をつなぐ力を持っております。その力を、ここ名古屋で皆様と共有できることは私たちにとって大きな誇りとなりました。本映画祭は本日で幕を閉じますが、ここで生まれた出会いや感動はこれからも続いていくと信じております。名古屋市といたしましても皆様方と力を合わせアニメーション始めとする文化芸術の未来を更に広げていきたいと考えております」と述べた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする