【コラム】マドゥロ追放時もイラン爆撃時も…トランプ大統領の「在宅勤務」

先月28日夜、ドナルド・トランプ米国大統領の私邸があるフロリダ州パームビーチのマールアラーゴ・リゾートでは、宴会が開かれていた。タキシードやドレスに身を包んだ人々とともに、チャリティーガラ行事の真っ最中だった。 トランプ大統領は歌『ゴッド・ブレス・アメリカ(God Bless America)』に合わせて踊った後、歓呼する出席者たちに「もう仕事に戻らなければならない」と言い残して舞台裏に消えた。しばらくして米海軍が発射したトマホークミサイルがイランを打撃し、「猛烈な怒り作戦」の幕が上がった。 過去の米国大統領たちは、重大な軍事決定を下す際、徹底して統制された戦略的空間を選んだ。1991年の湾岸戦争勃発前、ジョージ・H・W・ブッシュ当時大統領は、軍の指揮通信体系を備えたキャンプ・デービッドで中東地域の米軍兵力配置を決定した。バラク・オバマ元大統領がウサマ・ビンラディン殺害作戦を見守った場所は、ホワイトハウスの状況室だった。国家の運命がかかった決定には、高度な集中力と完璧な保安体系が必要だからだ。 しかし、マールアラーゴは違う。マールアラーゴは入会金100万ドル(約1億5900万円)を支払う富裕層の支援者や企業人が集まる社交空間だ。一角に暗幕を張って設けられた状況室で大統領が作戦を見守る間、状況室の外の宴会場周辺では、深夜に一部の客がシャンパンに酔ってうろつく超現実的な風景が繰り広げられたという。 ホワイトハウスはマールアラーゴに十分な指揮通信施設が備わっていると強調する。しかし、宴会場の音楽が壁一つを隔てて流れる空間は、軍の最高司令官が重大な軍事作戦を指揮する伝統的な意味での状況室の環境とは程遠い。 当時、ホワイトハウスの状況室はJ・D・バンス副大統領と一部の閣僚らが守っていた。しかし、トランプ大統領の側近は彼らを「Bチーム」と呼んで見下したという。ホワイトハウスが事実上のバックアップ司令部に転落した格好だ。こうした場面は今回が初めてではない。1月、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の逮捕作戦の際も同様だった。 マールアラーゴは大統領の追従者で埋め尽くされた、一種の「エコーチェンバー(共鳴箱)」に近い。今回の作戦に対する米国国内の世論が冷ややかであるにもかかわらず、トランプ大統領が「これほど多くの称賛を受けたことはない」と豪語したのは、こうした環境のせいである可能性が高い。 今は疎遠になったが、かつてトランプ大統領を補佐したジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障担当)の忠告に耳を傾けてほしいと思う。ボルトン氏は「在宅勤務で戦争を遂行することはできない。危機状況では大統領が執務室であれ状況室であれ、ホワイトハウスにいなければならない」と述べた。 キム・ヒョング/ワシントン総局長

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