<田鎖ブラザーズ最終回>岡田将生“真”と染谷将太“稔”の、31年越しの復讐、ついに完結 「もう、ここまでだ」

金曜ドラマ「田鎖ブラザーズ」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)の最終話が6月19日に放送され、真(岡田将生)と稔(染谷将太)の31年に渡る両親殺害の犯人を追う日々が遂に終わりを迎えた。真犯人は、兄弟にとってあまりにも意外な人物だった。(以下、内容のネタバレを含みます) ■時効になった両親殺害事件の真犯人を追うクライムサスペンス 本作は、時効が成立してしまった31年前の両親殺害事件の犯人を探すために警察官になった兄弟が、日々起こる凶悪事件事件と立ち向かいながら両親の事件の真相を追っていく、完全オリジナルのクライムサスペンスである。 ■もっちゃんが刺す前に両親は死んでいた? もっちゃん(山中崇)が、「田鎖夫妻を刺した時、夫妻は声も上げず逃げもしなかった」と言っていたことをふみ(仙道敦子)から聞いた稔は、もっちゃんの犯行前に両親が既に死んでいたのかもしれない、と考え始めた。 稔は、必ず復讐してやると誓って31年追い続けた犯人が、もっちゃんだったと知った後も、どうしても彼を憎むことができなかった。記憶が薄れていく両親よりもずっとそばに居て心の支えだったもっちゃんへの愛が上回ってしまったからだ。そんな状況下で、真犯人が別に居る可能性が浮上…今の稔にとっては、復讐よりも「大好きなもっちゃんが両親を殺したのではなかった」という確証を得ることが重要だった。 稔に頼まれ、両親の解剖記録を再読した法医学者の神楽(JP)は、「既に死んでいた可能性がゼロとは言い切れない」と告げ、毒物によって死んだことも考えられることを伝えた。事件当時の毒物の検査対象は主要な数十種類に限定されていた為、見落とされた毒があってもおかしくないとのことだった。 だが、31年前の遺体は既に処分されていて調べようがない。しかし、事件当日の夕飯のあんかけ焼きそばに両親が大量の酢をかけて食べていたことを思い出した。幼い兄弟は酢を嫌がって口にしていない。酢に毒が入っていたのかもしれない、と、真と稔は生家に行き、保管していた荷物の中から酢の入っていた瓶を探し出して検査に回した。 検査の結果、毒物は出なかったが、稔は諦めなかった。国内で一度に調べられる毒物は200種類だが、ドイツでは16000種類を調べることができると知り、ドイツに向かった。何としてももっちゃんが殺したのではないことを確信したい稔…。実際、もっちゃんは両親を殺意を持って刺している。しかし稔にとっては、そこは頭には無く、とにかく「もっちゃんはそんなこと(=殺人)をするような人間じゃない」との思いが間違いではなかったことを自分自身にも証明したいのだろう。真以外の“唯一の味方”が悪人であってはならないのだ。 ■港で死んだ「こうじ」の正体 稔がもっちゃんの無実(ではないが)を証明する為に奔走している間、真は真犯人を見つける為に、部下の石坂(宮近海斗)に、密造に関与していた五十嵐組の天城の行方を探らせていた。だが、天城は既に薬物中毒で死亡していた。そこで、銃取引失敗の2日後に港で死んだ「こうじ」という漁師についての調査を依頼。 石坂から調査結果を受け取った真は、それを読んで絶句。その漁師は「足利公司」…晴子(井川遥)の父親だった。晴子の父は、銃の運び屋をしていて、朔太郎が銃を持ち帰った為に取引が失敗したことで殺されたのだった。 ■両親は刺殺ではなく毒殺だった 両親を殺したのは、ほぼ間違いなく晴子だ。思いもよらなかった“真犯人”に、真は打ちのめされ、道端で人目もはばからず号泣した。帰宅したところへドイツの稔から電話が。瓶から有毒植物の“ジキタリス”に含まれる毒が検出され、もっちゃんとは別の誰かが酢に入れたのだ、と声を弾ませる稔に、真は理由は告げずに「ちょっと調べたいことがある」と、蓬田署への口利きを頼んだ。署に保管されている、事件当日に晴子が刺された時に着ていた衣服の再検査を依頼する為だ。 帰国した稔は、真から晴子の父のこと、そして、晴子の衣服から毒が検出されたことを聞き、「何でだよ…31年も追いかけて」と、力なくその場でしゃがみこんだ。もっちゃんではない真犯人が晴子…。信頼していた身近な2人の裏切りは、兄弟にとってあまりにも残酷すぎる。 真相に近づき始めた頃、真が「知らない方がいいことも出てくるかもしれない」と追及をやめようとしたが、稔は「それでも知りたい」と引かなかったことがある。やはり、知らない方が良かったのではないだろうか。誰だかわからない犯人を憎み続けることと、信頼していた人間が犯人だったと知ること、どちらの苦しみが大きいのだろう…。 ■晴子の恨みの矛先 翌日、稔と真が待つ港にやってきた晴子は、事件について語り始めた。“酔って”海に落ちて死んだ父の遺品を漁業組合から受け取った晴子は、その中にあった業務ノートを読んだ。そこには「取引失敗」「辛島の工場でトラブルか」と書かれており、何のことかわからない彼女は工場へ向かった。そこで、貞夫(長江英和)が朔太郎(和田正人)を、オマエが銃を持って帰ってきたせいで漁師が殺されたのだ、と責めているのを聞いてしまった。 晴子の恨みは、父に運び屋をやらせた貞夫ではなく、取引を失敗させた朔太郎に向かった。以来、田鎖一家の行動を監視し、合鍵の隠し場所や留守になる時間を調べた。身寄りのなくなった彼女は、区役所の相談室に通い、そこで秦野小夜子に出会ったのだった。 秦野は、先日、いくつもの殺人教唆の容疑で逮捕された相談員。「被害者だけがどうして苦しみ続けなければならないのか」などと被害者遺族の感情を揺さぶり、真も危うく洗脳されかけたことがあった。真と初めて会った時、「田鎖」という苗字に反応したのも、晴子と接した中で聞いていたからなのだろう。 秦野は「気分転換に」と、復讐のヒントになる本や記事を相談者に渡しており、晴子も“ジキタリス”のことが書かれている本を渡されていた。秦野が逮捕時、真に「きっとまた私に会いにくると思うけど?」と言ったのは、晴子が犯人だとわかった後で彼が訪ねてくると思っていたからだ。 ■「そっか。やっぱり私か…」 晴子は留守中の田鎖家に忍び込み、酢の瓶に毒を混入。その後、外に居たところ、田鎖夫妻を刺して飛び出てきたもっちゃんと遭遇し、彼に切りつけられたのだった。そして、助けを求める真に引っ張られて田鎖家に入った彼女は、毒入りの酢を台所に流して証拠隠滅を図った…。 真たちから事件の経緯を聞いた晴子は、「そっか。やっぱり私か…」と言った。自分の計画は失敗して、田鎖夫妻は刺殺されたのだと思っていたようだ。 「何で殺した?(朔太郎は)銃を届けなかっただけだよな!?」と怒りに震える真に、晴子は「私のお父さんも、銃を届けられなかっただけだった」と言った。だが、正義感から銃を届けず取引を中止させた朔太郎と、運び屋として届けられなかった晴子の父では立場が違う。片や犯罪を見過ごせなかった父、片や犯罪に手を染めていた父…。晴子が復讐すべきは、どんな経緯があったのかは不明だが、父親を犯罪に引きこみ死に至らしめた貞夫と笹岡(柳憂怜)であり、これは完全なる逆恨みだ。 自分が兄弟の両親を殺しておきながらも、これまで真相解明に手を貸していたのは、「晴ちゃん」と慕ってくる稔や真が亡くなった弟と重なったからだった、と晴子は言った。 ■「もう、ここまでだ」 「復讐が成功して、どんな気分だ?」との真の問いに、「私はきっと、真と稔に裁かれたかったんだと思う」と答えた晴子に、稔は泣きながら銃を向けた。だが、どうしても引き金を引くことができなかった。真は稔から銃を奪い、「あとは、オレがやる」と諭すように言った。そして「2人にゆるされるには、それしか無いから」と覚悟を決めて目を閉じた晴子の額に銃を向け、泣き叫びながら引き金を引いた。 地面には、数敵の血がぽたぽたと落ちた…。 その後のことは、わからない。晴子が撃たれたとしても、落ちた血の量から死んではいないだろうし、港で釣りをする後ろ姿は、髪の長さや足元に置かれたオレンジのバッグから晴子だと思われる。その姿に「もう、ここまでだ」と言う真のモノローグが重なった。 そして、いつもはドラマの序盤に出ていた「田鎖ブラザーズ」の文字がラストに出て、その文字から鎖が消えていた。田鎖兄弟は、31年間縛られていた“復讐”という名の鎖から解き放たれた。 ◆文=鳥居美保

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