認知度も低下、教員の処遇改善…教育の重要局面で何ができるか?「日教組」の現在地 過去最低の組織率18.8%でも発信強化の真意

日本の教育が重要な局面を迎えている。公立学校の教員に残業代を支払わない代わりに支給されている「教職調整額」を4%から10%に段階的に引き上げることなどが盛り込まれた給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の改正案の国会審議が始まっている。子どもや教員の負担が大きくなっているとの指摘もある学習指導要領だが、その改訂作業も始まっている。そこには教職員の声も反映されるべきで、その声を届ける役目を担っているのが教職員組合である。しかし、その教職員組合は組織率を落とし続けている。この重要な局面を教職員組合は、どのように捉えているのか。日本最大の教職員組合である日本教職員組合(日教組)の梶原貴・中央執行委員長に聞いた。 ——2030年度以降に小学校から順次実施される予定の次期学習指導要領の改訂作業が始まっています。学習指導要領については教える量も時間も増えていて「カリキュラム・オーバーロード」の状態にあるとの指摘もありますが、どのように認識していますか。 学習指導要領は約10年ごとに改訂が行われていますが、そのたびに学習する量は増えるし、教え方も規定されるようになり、準備にかかる時間も増えるばかりです。それによって、現場の教員がかなり疲弊しているのは事実です。 さらに、学習指導要領どおりの教科書だとまだいいのですが、学習指導要領以上に教科書の内容量が増えてしまっていることも課題だと感じています。 ——教科書の内容量が増えた、つまり「教科書が厚くなった」ということですね。どうして、そうなったのでしょうか。 2002年度から実施された学習指導要領で、教える内容も授業の時数も縮減する、いわゆる「ゆとり教育」が始まります。ところが、学力低下につながっているのではないかという批判が起きたことで文科省は、学習指導要領にそった教科書とは別に、発展的な内容を盛り込んだ教科書の「別冊」を配布します。 その「別冊」は、発展的内容に挑戦したい子どもがやればいいという位置づけでした。あのときの仕組みなら、「別冊」は必要に応じて利用していたので、まだ教員にも余裕がありました。 ところが現在は、この学習指導要領に準拠した「基礎」と学習指導要領を超えた「発展」の両方が1つの教科書に入っています。1単元の基礎が終わると発展があり、次の単元でも基礎があり発展があるという仕組みです。それでも基礎と発展がはっきり区別されていればいいのですが、どこまでが基礎でどこから発展なのかはっきりしない場合もあると現場の教員から聞いています。そういう作り方もどうかと思いますけどね。

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