インターネット上でプレーヤー同士がつながるオンラインゲームをきっかけに未成年が犯罪に巻き込まれる事例が相次いでいる。中には殺人事件に発展したケースや、言葉巧みに海外に連れ出され特殊詐欺に加担させられたケースもあった。ゲーム中に音声でやり取りをする「ボイスチャット」機能が悪用されており、外部からの監視が難しいことも事態を深刻化させている。 ■「友人に会いに」 「インターネットのゲームで知り合った愛知県の友人に会いに行く」 3月、愛知県一宮市の無職の男(21)の自宅で遺体となって発見された東京都内の女子高校生(16)は、家族にこう伝えていた。 男は3月末に死体遺棄容疑で逮捕。21日には、殺人容疑で再逮捕された。2人が知り合うきっかけとなったのは、オンラインゲームだったとされる。 2月には、宮城県の高校生がオンラインゲームで知り合った男に誘われてミャンマーに渡航し、特殊詐欺に関与させられていたことが判明した。1月には、オンラインゲームで知り合った少女にわいせつな画像を送らせたとして、山形県の20代の男が逮捕されている。 ■中学生が半数超 警察庁によると、面識のない人とオンラインゲームを介して知り合って犯罪に巻き込まれた未成年は、昨年1年間に前年比10%増の98人。うち56人は中学生だった。ゲームタイトル別では「荒野行動」が27人、「We Play」が23人、「フォートナイト」が11人。対戦などを楽しむ人気ゲームの悪用が目立つ。 見ず知らずの人と協力して攻略するゲームも多い。プレー中にボイスチャットで戦略を話し合って親密になり、交流サイト(SNS)でのやり取りに発展。その後に犯罪に巻き込まれるという構図だ。 警察庁によると、ゲームの上手な人に対する憧れや仲間意識が被害を助長させている可能性がある。インターネット犯罪に詳しい国際大学GLOCOM客員研究員の小木曽健氏は「犯罪者側に高いコミュニケーション能力がなくても、(被害者と)仲良くなれてしまう」と指摘する。 ■保護者が監視を