「ベトナムの家族殺すぞと脅された」 広島のトクリュウ大麻栽培事件で逮捕の男、法廷で証言

広島県内の複数の民家でベトナム人の匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)が大麻を営利目的で栽培していたとされる事件で、県警に逮捕されたメンバーの男(37)が、関東在住という上位者の人物から、栽培をやめればベトナムの家族に危害を加えると脅迫されていたとみられることが9日、分かった。栽培に従事せざるを得ないよう脅したとみられ、県警は背後関係を調べている。 県警はこれまでにこの男を含む計9人を大麻草栽培規制法違反(営利目的栽培)などの容疑で逮捕。東広島市黒瀬町と広島市安芸区瀬野町の栽培拠点から大麻草計539本と大麻の植物片約2・4キロを押収している。 県警や広島地裁での公判によると、男はベトナムのいとこから「日本でリスクのある仕事をすれば、ベトナムの給料の1年分が得られる」と言われ、昨年7月に短期ビザで入国。旅行ツアーを途中で抜け出し、男が「マフィア」と言うベトナム人の下で働き始めた。 報酬はなく、男はその後に何者かから瀬野町の民家を与えられ、同12月からそこで生活しながら大麻草307本を栽培したという。男は公判の被告人質問で「マフィアに帰国を申し出ると、『家族を殺すぞ』と脅された。家族に心配をかけたくなく、日本語も分からないので警察に相談できなかった」と述べた。 一連の事件で、麻薬取締法違反(大麻の営利目的所持)容疑で7日に再逮捕されたグループ内の指示役とみられる男(41)=安芸区畑賀町=も、自身より上位の人物の存在を示唆していることが捜査関係者への取材で新たに判明した。 県警などによると、この男は自身が営む食料品店などで他人名義のスマートフォンを使い、別人を装い架空代金の決済を繰り返し、約50万円を詐取した疑いもある。もうけの20%の報酬が得られる約束で何者かからスマホを受け取ったという。 県警はメンバーが上位者からの指南で大麻以外の犯罪にも手を染めていた可能性も含め、事件の全容解明を進める。

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