好きなアイドルやスポーツ選手を熱烈に応援する「推し活」。その強い思いは時に暴走することもある。勤務していた保険会社の顧客だった、プロ野球・巨人の選手の個人情報を撮影した写真と殺害予告をインターネット掲示板に投稿し、脅迫罪などで昨年7月に逮捕された20代の女性の公判。法廷では「推し」の活躍を願うあまり、犯罪行為に走ってしまうまでの顛末が明かされた。(共同通信=助川尭史) ▽「惨殺されて死ね」34回の殺害予告 今年2月、被告は両親に付き添われながら東京地裁に姿を見せた。長い黒髪をひとまとめに結び、黒いスーツに身を包んだ生真面目そうな装いとは対照的に、検察官が読み上げた起訴内容は衝撃的なものだった。 「惨殺されて死ね!」、「まだ生きてたんだ」。被告は昨年4~6月までの2カ月間で34回にわたってネット掲示板に巨人のA選手と家族への殺害予告を投稿。保険会社に勤務していた際に撮影したA選手の名前や自宅住所などが記された顧客情報も添付した。投稿を把握した球団は、選手の周辺や試合が行われる東京ドームの警備強化を余儀なくされた。