《ボリビア》犯罪組織「PCC」の隠れ家に=警察腐敗で組織幹部潜伏

ブラジル最大犯罪組織「州都第一コマンド(PCC)」の幹部らが、近年相次いで隣国ボリビアに身を潜めている。コカイン供給地である同国は腐敗した治安機構を背景に、極めて都合のよい避難地となっている。PCCの〝隠れ家〟ボリビアの実態について22日付エスタード紙が報じた。 16日、かつて刑務所外でPCCの現場指揮を担っていた最重要幹部の一人「トゥタ」ことマルコス・ロベルト・デ・アルメイダ容疑者が、ボリビア当局と連携したブラジル連邦警察の作戦により逮捕された。ブラジルの偽造書類を使い、身分証明書の更新を試みたことにより身元が判明し、逮捕された。現在はブラジリアの連邦刑務所に収監されている。 PCCの最高指令部「シントニア・フィナル」に属するトゥタは近年影響力が後退したものの、麻薬管理全般や欧州の取引先との調整、内部粛清の指示まで担っていた。 トゥタ以外にも、現リーダーと目されているパトリッキ・ヴェリントン・サロモン氏(通称フォルジャド)ら上層部がボリビアに滞在している疑いがある。フォルジャドは検察による全件の訴追に対して無罪判決を得ており、現時点では逃亡者としては扱われていない。 20年にわたり同組織を追う検察官リンコン・ガキヤ氏は、ボリビア滞在の背景には、同国がコカインの主要供給地であり現地犯罪者との密接な関係が保護ネットワークとなっており、加えて司法協力の困難や警察腐敗があると指摘。「彼らの住所は把握しているが、ボリビア警察の協力が得られない」と明かす。 過去にはパラグアイが主な避難地であったが、近年はボリビアにその座を譲っており、PCC幹部らは同国で高級不動産や航空機を所有。買収した軍関係者による護衛を受けていたケースまである。同国に身を置くことはブラジルからのアクセスの良さに加え、ペルーやコロンビアなど他の供給国にも近い利点がある。腐敗警察による監視の目の掻い潜りも容易だ。 PCCは年間約10億米ドルを稼ぎ、主にボリビアやペルーから麻薬を調達、欧州を主要輸出先とする。近年はアフリカやアジアへのルート拡大も進んでいる。 トゥタ逮捕は、彼が現状に安心しきって自発的に役所を訪れたためであり、狙われての逮捕ではなかった。19年にPCCの現場指揮のトップに就任した彼は、PCCとイタリアマフィア「ンドランゲタ」との重要な連絡役を担い、21年に逮捕されたイタリア人マフィア、ロッコ・モラビト容疑者との関係も確認されている。 昨年には資金洗浄及び犯罪組織結成で12年6カ月の実刑判決を受け、その際には約12億レアル相当の資金を国外送金していたことが判明している。 20年と23年にも逮捕状が出されたが潜伏。警察内部の情報を事前に得ていた疑いもある。モザンビーク総領事館の商務担当を務めたトゥタは、同国を経由する麻薬ルートにも関与。21年にはリオ港で5トンのコカインが押収されている。 今回の彼の逮捕を機に、幹部間には警戒感が広がっている。

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