阿部寛が主演を務める日曜劇場「キャスター」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)の第7話が5月25日に放送。進藤(阿部)と華(永野芽郁)の対峙(たいじ)が熱かった。(以下、ネタバレを含みます) ■型破りなキャスターが闇に葬られた真実を追求する社会派ドラマ 同ドラマは、テレビ局の報道番組を舞台に、型破りなキャスターと番組に携わるスタッフたちが闇に葬られた真実を追求し悪を裁いていく、完全オリジナルストーリーの社会派エンターテインメントドラマ。 阿部寛が扮(ふん)する主人公の進藤壮一は、公共放送で社会部の記者として15年間キャリアを積んだあと報道番組のキャスターになり、民放テレビ局・JBNに引き抜かれて「ニュースゲート」のメインキャスターに就任したキャラクター。 「ニュースゲート」のスタッフ陣として、総合演出の崎久保華役を永野芽郁、番組ADの本橋悠介役を道枝駿佑、サブキャスターの小池奈美役を月城かなと、プロデューサーの山井和之役を音尾琢真、編集長の市之瀬咲子役を宮澤エマら。また、報道番組のスタッフらを束ねる報道局長・海馬浩司役を岡部たかし、JBNの会長・国定義雄役を高橋英樹が務める。 ■18年前の因縁の相手に脅される進藤 第7話は、冒頭からヒリヒリする展開が繰り広げられた。難病を患う娘・藤井ユキノ(佐藤恋和)のため、臓器移植を決意した母・真弓(中村アン)の話の続きだ。 臓器移植の仲介をするNPO法人・ひまわりネット代表の深沢(新納慎也)は、18年前に華の姉が海外で臓器移植をしようとしたときも手掛けた人物で、進藤のスクープによって、その手術直前に警察が踏み込んでいた。いわば進藤は深沢にとって因縁の相手だ。 病院で真弓らの到着を待ち構えていた進藤に、ある医者を介して深沢が接触する。進藤の娘・すみれ(堀越麗禾)の命と引き換えに、自分と目の前にいる医者を警察に追わせないようにしろというのだ。進藤は、それを承諾し、警察が真弓のみを逮捕する現場をリポートした。 進藤の動きを調べた華は、進藤にカメラを向けるが、進藤はカメラを下ろすように指示する。華が取材拒否かと攻め寄ると、「生放送で答えてやる」と進藤。 華は怒気をはらんだ声で、「私の質問なんか、屁でもないってことですか」と言う。だが、「誤解すんな、俺は今までさんざん被害者や加害者にカメラを向けてきた。俺に取材を拒否する権利なんかない」と進藤は言い放つのだった。 ■進藤にジャーナリズムを問う華 「ニュースゲート」の生放送が始まり、華は進藤が深沢に脅されていたことを追及する。進藤は、その内容は放送にはふさわしくないと言うが、華は深沢が脅したときに進藤の目の前にいた医師にインタビューしていた。 「脅しに屈したんですね」と華。「そうは思いません」と進藤。ハラハラする展開が続く。 もし脅迫に屈しなければ、違法なことをする深沢を逮捕できたかもしれない。華は「今回の行動は、ジャーナリストとして間違っていると思いませんか」と問い掛けるが、進藤はまたも「思いません」ときっぱり。 そこで華は18年前の姉・沙羅のことを持ち出した。「あなたが報道しなければ川島沙羅さんの命は救われていた。それでもスクープは間違いではなかったと?」。 進藤の答えは「何度でも言います。私はそのスクープを間違いだと思ったことは一度もありません」だった。 華は食い下がる。「脅しに屈して娘の命を守るあなたと、娘の命を守るために違法な手術を受けさせようとした母親、どこが違うんでしょうか?同じです。あなたはずるい。私はあなたをジャーナリストとしては認めません!」。 進藤は「若者が自分の正義を熱く語るのは見ていて頼もしいものですよ。声を上げ続けるという努力だけが世の中を変えるのです。ですが、残念なことに、崎久保記者の正義と私の正義は違うようだ。私は私の信念の下、報道を続けてまいります」と結び、その場を終わらせた。 実は、深沢とつながっていた医師は華の父・川島圭介(山中崇)だった。長く行方をくらませていたのだが、今回を機に再会した華。かつて、姉の臓器移植を母が懇願したとき、父は「貧しい人から金で臓器を買うということ」「人には越えてはいけない一線がある」と言っていた。 このあと、進藤はいくつかの“取引”を潜ませてある計画を進めていくのだが、このそれぞれの正義と信念がぶつかり合った場面が、その展開を深く胸に迫り、考えさせるものにした。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部