大阪・ミナミの通称「グリ下」に出入りする女子高校生に売春をさせたなどとして、大規模売春グループのリーダーとみられる男が逮捕されました。少なくとも130人の少女らに売春をさせていたとみられています。 多くの若者が集まる大阪・ミナミ。そこで少女らを「性的な食い物」にする組織の存在が明らかになりました。 泉達也 記者 「午後1時。木村容疑者を乗せた車が大阪府警本部から出てきました」 逮捕・送検された、自営業の木村有亮容疑者(34)。70人規模の売春グループの“リーダー”とみられています。 木村容疑者は去年6月、大阪・道頓堀のグリコの看板下、 通称「グリ下」に出入りしていた女子高校生を、大阪府岸和田市のホテルで客2人と売春させるなどした疑いがもたれています。 売春グループは「稼げる仕事がある」とSNSなどでうたい、少なくとも130人ほどの少女らを勧誘。 その上で、出会い系サイトで客を募り、東北や北陸地方のホテルなどに車で連れて行って売春させていたとみられ、少女らの報酬は客から受け取った金額の半分以下だったということです。 滝本絵斗被告 「女の子には申し訳ないけど、彼女らは稼ぎたいし、お互い目的が一致している」 読売テレビの接見取材に応じたのは、すでに逮捕・起訴されているグループメンバーの滝本絵斗被告(26) 裁判では、女子高校生に10日間で少なくとも109人と売春をさせていたことが明らかになりましたが、取材で語ったのは「売春はあくまで少女らの希望だった」という主張でした。 滝本絵斗被告 「いくら稼ぎたいかを聞いて、女子高校生が60万円欲しいって言ったので、『それなら10日間は必要だよ』と。朝10時くらいから起きて、1日に稼ぎたい額が稼げるまでやる感じ。最初は『きつい』って言っていたけど、最後は『また行きたい』と言っていた」 一方、裁判で検察側は、少女らが滝本被告らに支配され、睡眠も十分にとれず、現地の産婦人科で緊急避妊薬の処方を余儀なくされたほか、 途中で「やめたい」と言っても売春を続けるよう指示されていたと指摘しました。 これまでも出入りする少年や少女が、犯罪やトラブルに巻き込まれるケースが相次いでいた「グリ下」。 きのう(19日)夜、記者が訪れてみると。 的井文謙 記者 「午後8時半です。以前のように集まっている若者の姿は見られません」 グリ下では今年3月、万博期間中に座り込みを防いで、人が通れるスペースを確保するため、大阪市が塀を設置。警察が集中して補導したこともあり、以前と比べ、集まる若者の数は減っていました。 しかし、グリ下近くに少女らが自由に過ごせるスペースを設け、相談や支援をしている団体は、「根本的な解決には至っていない」と指摘します。 認定NPO法人D×P 野津岳史さん 「実際に子どもたちがそれ(塀)に対して、どう思っているかを聞いたのが、この付箋。『排除しようとしている』とか『不信感が強くなった』とか、あの場所(グリ下)が狭くなったこともあって、違う場所に移って集まっているみたいです。できるだけ日常の延長線上で、身近に気にかけてくれる人であったり、そういう場所があるのが大事だと思います」 悩みを抱えた少女らをカネのために「食い物」にした今回の事件。警察は木村容疑者の認否を明らかにしていませんが、組織の全容解明を進めています。