「カバンの中にはペイントでなく爆弾が入っていた」 テレグラムのある求人掲示のコメントを見て警察署の前に到着し、そのまま自爆テロ犯になるところだったウクライナ青年オレフ君(19)の言葉だ。6月30日(現地時間)、英国ガーディアンによると、オレフ君は「リウネの郊外周辺の整備所でペイントの入れ物が入ったカバンを受け取り、地域警察署の前に行ってペイントを撒くだけでいい」という内容とあわせて報酬1000ドル(約14万3640円)が提示されている掲示文を目にした。オレフ君の行動を怪しいと思ったある警察官は、彼のカバンを捜索し、その中にカメラが装着された遠隔爆発用電話機を発見したという。結局オレフ君はその場で逮捕された。 2月にはウクライナ・ドニプロ(ドニエプル)の軍事基地近所で16歳ごろの少年が携帯電話を持っていたところ、軍関係者によって逮捕されることもあった。彼の携帯電話には軍事施設の座標と写真が見つかったフィナンシャル・タイムズ(FT)が伝えた。3月イヴァーノ=フランキーウシクの汽車駅では15歳と17歳の少年が爆弾を運んでいる途中に1人が死亡した。 ウクライナ保安庁(SBU)は最近相次ぐウクライナ青少年の犯罪背景に「ロシア連邦保安局(FSB)のスパイ・テロ工作」を提起した。FSBがテレグラムやワッツアップ(WhatsApp)などメッセンジャーアプリを通じてウクライナ青少年に高額の短期収益(約100~1000ドル)を提示した後、機密施設の撮影のほか放火や爆弾設置などを指示しているという。 実際、SBUによると、過去1年間でスパイ・放火・テロなど容疑で逮捕された700人余りのうち約175人(25%)は未成年者であることが分かった。さらに11歳少女も含まれていた。SBUのアルテム・デフチャレンコ報道官はFTに「一部の青少年は自身がスパイ行為をしているという事実も知らないまま行動している」とし「未成年者は自身の行動に対する結果を予測できないので特に脆弱」と懸念した。現地では「ウクライナがロシアのハイブリッド戦争の実験場になっている」「ウクライナ人を自爆テロ犯として使い始めた」などの懸念も相次いでいる。 ウクライナ当局は青少年保護のための大々的なキャンペーンを展開している。学校教育や警告動画、テキストメッセージ、高速道路の広告看板などを通して「無料のチーズはネズミの罠だけにある」などの警告メッセージを伝えている。 ただし、これに関連してロシア外務省は公式立場を出していない。 ◇大空襲に出たロシア…ドイツ外相「プーチン、全体支配を望んでいる」 ロシアは戦線でもウクライナを激しく圧迫している。ウクライナ空軍は6月29日、「ロシアが無人機・有人機477機とミサイル60発を動員した歴代最大規模の夜間空襲を敢行した」と明らかにした。攻撃対象はキーウ、ポルタヴァ、ハルキウ、ヘルソンなどウクライナ全域だった。 ウクライナ空軍のユーリ・イフナト報道官はAP通信に「2022年2月の全面侵攻以降、最大の空襲」と話した。近隣ポーランド空軍まで自国領空防御のために戦闘機を緊急出撃させるほどの大々的な作戦だったという評価もある。今回の空襲でF-16パイロット3人が死亡したと伝えられている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は当日X(旧ツイッター)で「ロシアは能力がある限り攻撃を止めないだろう」としながら米国の防空システムの追加支援を訴えた。ドイツのヨハン・ワデフル外相も6月30日、「ウラジーミル・プーチン(ロシア大統領)はウクライナ全域を支配して欧州に恐怖をまき散らそうとしている」とし「交渉意志は見かけにすぎない」と警告したとdpa通信が伝えた。 一方、ロシアは米国の対ロシア制裁法案を批判した。クレムリン宮のドミトリー・ペスコフ報道官はこの日の会見でリンゼー・グラム米上院議員が発議した対ロシア制裁法案に対して「ウクライナの平和に全く役に立たないだろう」と批判したとタス通信が伝えた。グラム議員はロシア産エネルギー輸入国に500%の関税を賦課する法案を推進中で、ドナルド・トランプ大統領も該当の法案通過を支持していると最近米ABC放送で明らかにした。