茨城県坂東市発注の下水道工事を巡る汚職事件で、県警捜査2課は3日、随意契約の業者選定で便宜を図ってもらう見返りに市道路建設課主査の男(52)=収賄容疑で逮捕=に賄賂を渡したとして、贈賄の疑いで、市内の水道工事会社の役員2人を水戸地検に書類送致した。県警によると、いずれも任意の事情聴取に容疑を認めている。男が容疑を認める供述をしていることも、捜査関係者への取材で分かった。 書類送検されたのは、水道工事会社の取締役の男性(69)と、男性の長男で代表取締役の男性(45)の親子2人。県警は任意で捜査していた。 書類送検容疑は、当時、市下水道課主査だった男に下水道工事の随意契約で有利な取り計らいをしてほしいと依頼し、見返りとして昨年12月までの1年半の間、現金3万円や軽乗用車1台、温水洗浄便座1台など計27万2100円相当の賄賂を渡した疑い。 捜査関係者によると、市職員の男はこれまでの県警の調べに「車などをもらうことが賄賂であると分かっていた」などと供述し、金品の授受や賄賂性を認めている。動機についても「金に困っていた」と話しているという。 男は、直近では2021年度から下水道課に在籍。実質的に1人で契約価格などを決める立場にあり、水道工事会社側に十数回にわたって、設計金額などの情報を伝えていたとみられる。 ■賄賂の中古車を没収、水戸地裁が保全命令 茨城県坂東市発注の下水道工事契約を巡る汚職事件で、収賄容疑で逮捕された市職員の男(52)が水道工事会社から賄賂として受け取ったとされる中古の軽乗用車について、水戸地裁は、組織犯罪処罰法に基づき没収保全命令を出した。県警が3日、発表した。 没収保全命令は裁判所の判決言い渡し前に犯罪収益を凍結する措置で、地裁は県警からの請求を受け、6月26日に命令を出した。