「来れば誰か友達がいる」“トー横化”するJR新潟駅南口 中高生らが連夜集まり、飲酒、喫煙、けんか…逮捕事案も 治安悪化に不安の声

新潟の玄関口であるJR新潟駅の南口広場周辺に連夜、少年少女からなる複数のグループが集まり、喫煙や飲酒といった非行、けんかなどのトラブルを起こしている。補導されるケースが相次いでいるほか、今月は中高生2人の逮捕者も出た。近くの住民らからは治安の悪化を懸念する声が聞かれ、新潟署が警戒を強めている。 7月上旬の午後9時ごろ。南口広場で、中高生ら約10人のグループがベンチや地面に座り込み、話に熱中していた。周囲にはたばこの吸い殻やごみが散乱していた。 新潟署によると、南口広場ではこの春以降、夕方から深夜にかけて中高生らがたむろする姿が目立つようになった。周辺店舗での集団万引や自転車盗難など、若者らが関わった可能性のある事件も相次いでいるという。集団による恐喝の被害も確認されている。 今年1〜6月の新潟署による補導人数は、前年同期より59人多い195人。万引など少年事件の摘発も20人多い37人に上った。 7月に入ってからは、 トラブルを仲裁しようとした警察官を押したとして男子中学生が公務執行妨害の疑いで、またベンチで面識のない男性を殴って負傷させたとして男子高校生が傷害容疑で逮捕された。 なぜ広場周辺に集まるのか。グループの一人の男子高校生(16)は取材に「ここに来れば誰か友達がいる。第二の家みたい」と語る。同じグループの男子中学生(15)は「家で親と話せなかったり、親がいなかったりする仲間もいる。自分たちはただ集まって遊んでいるだけ。人に迷惑をかけているつもりはない」と淡々と話した。 だが、周囲の視線は冷ややかだ。周辺の飲食店で働く男性(27)は「小さな子どもも通る場所で、怖がっている人は多いのでは」と眉をひそめる。広場に近い公園そばに住む男性(68)は「騒がしいのはもう日常茶飯事だが、マナーとモラルを守ってほしい」と訴える。 東京・歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる一角では、大人に誘われて犯罪に加担したり、性被害に遭ったりするケースが多発、社会問題化している。新潟署は、新潟駅周辺で無断外泊の少女らを狙った性被害も認知しており、「トー横」化の危険性も懸念している。 県警は新潟署を中心に、中学や高校が夏休みに入る7月下旬以降、人員を増やして新潟駅周辺の警戒を強化する方針だ。 ◆行き場のない子の「示威活動」全国で・「夜回り先生」水谷修さん 少年の非行防止に取り組み、「夜回り先生」として知られる教育評論家の水谷修さん(69)=神奈川県=に、若者がたむろする理由や大人はどう向き合うべきかを聞いた。 「駅頭などでの夜の集まりは、学校や社会から見捨てられた子どもたちが行き着くセーフティーネットだ。学校でドロップアウトした子や、貧しい家庭に育ち行き場のない子らがグループをつくる動きが今、全国でみられる。子どもたちの示威活動とみるべきだ。 まずやるべきことは、警察による徹底した補導と、家庭に問題を抱えている子どもを児童相談所へつなげる緊急対応だ。 落ちこぼれをつくらないことも大切だ。学校でつまずいた子が学び直しや社会復帰を目指せるよう、一度高校を辞めても無試験で戻れるといった教育制度の整備が必要だろう」

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