県内被害13億円超、過去最悪 特殊詐欺、SNS型詐欺

●上半期、昨年の2.4倍 65歳未満6割超 今年上半期(1〜6月)に石川県内で確認された特殊詐欺と交流サイト(SNS)を悪用した詐欺の被害総額は約13億100万円で、同時期としては過去最悪だったことが15日、県警への取材で分かった。年間被害額は昨年の15億円が最多で、上半期としては昨年の2・4倍に上る。どちらも65歳未満の被害者が全体の6割を超え、SNSの普及で若い世代もだまされている。県警は「非常事態。狙われているのは高齢者だけじゃない」と警鐘を鳴らす。 ●10代もだまされ 特殊詐欺は、警察官などをかたって電話をかけ「あなたに逮捕状が出ている」などと脅して金を要求するパターンが主流。SNS型詐欺は、フェイスブックなどの偽広告やメッセージを通じて投資や恋愛関係に誘い、だます手口が多い。 県警によると、今年上半期の特殊詐欺の認知件数は92件(前年同期比39件増)で、被害額は約6億5600万円(約5億5100万円増)。被害者92人のうち65歳未満は59人で、20〜30代が28人。10代がだまし取られるケースもあった。 ●「偽警官」金額33倍に 特殊詐欺の中でも、警察官を装う手口の被害総額は、昨年同期の約1700万円から33倍の約5億6千万円と激増した。この詐欺はまず固定電話や携帯電話に連絡した上で、SNSでのやり取りに誘導することが多い。ビデオ通話で警察官に扮(ふん)した人物が偽物の警察手帳や逮捕状などを示し、信じ込ませる。 子や孫を名乗ってトラブルの解決金を求めたり、年金の還付金があるなどと偽ったりする古典的な特殊詐欺の被害者は60代以上が多いとされてきたが、「警察官がたり」は若者もだまされている。県警の担当者は「警察官がSNSで連絡を取ったり、お金の話をしたりすることは絶対にない」と注意を呼び掛ける。 ●ロマンス詐欺急増 SNS型詐欺の認知件数は60件(前年同期比30件増)、被害総額は約6億4500万円(約2億1700万円増)に上った。県警が同詐欺被害の統計を取り始めたのは2023年で、今年は12億円近い被害が出た昨年を上回るペースだ。 内訳は著名人や投資専門家の偽広告をきっかけに投資に誘われる「投資詐欺」が28件(4件増)で、被害額は約5億500万円(約1億5600万円増)。恋愛感情や親近感を抱かせて金銭を詐取する「ロマンス詐欺」は32件(26件増)、被害額約1億4千万円(約6100万円増)だった。

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