「英国で最も写真映えする木」を切り倒した動機は「単なる虚勢」――。 英中部ノーサンバーランドの世界遺産「ハドリアヌスの長城」にあったシカモア(セイヨウカジカエデ)の木が2023年9月に伐採された事件で、器物損壊罪に問われた容疑者2人の判決公判が15日に開かれた。 裁判官は、不明だった動機の一端に初めて触れ、2人に禁錮4年3月の実刑判決を言い渡した。 ローマ帝国時代の城壁の脇にあったこの木は、樹齢100年以上とされる。 ケビン・コスナーさん主演の米映画「ロビン・フッド」(1991年)に登場したことから「ロビン・フッドの木」とも呼ばれ、丘と丘の間にぽつんと立つ姿は観光客らに人気だった。 23年9月28日未明、木は根元から切り倒され、近郊に住む39歳と32歳の男が逮捕された。 2人は友人同士で、幹の直径が約90センチの木をチェーンソーで伐採したとみられている。 この事件は英国で怒りを呼び、動機に大きな関心が集まっていた。 英メディアによると、判決公判では、2人の弁護人が「酔っ払いの愚行」と主張。一方で、検察側は「伐採には相当な計画性が必要だった」と反論した。 裁判官は、動機はいまだ明確ではないとしつつ、主な要因として「虚勢」を挙げた。 また2人は、伐採された木の写真や、人々が交流サイト(SNS)に投稿した憤りの声のスクリーンショットを互いに送り合っていたという。 裁判官は「自分たちの悪名を楽しんでいた」とも指摘した。【ロンドン福永方人】