偽の旧1万円札を輸入した罪などに問われている男の裁判員裁判で、熊本地方裁判所は無罪判決を言い渡しました。 判決を受けたのは、長洲町に住む無職のベトナム国籍、チャン・ヴァン・ビイン被告(38)です。 判決などによりますと、チャン被告はおととし、偽の旧1万円札176枚をベトナムから日本に持ち込み、現在の1万円札に交換した罪に問われています。 ※偽造通貨輸入・行使、関税法違反の罪 裁判員裁判で進められた今回、被告側と検察側が全面的に争っていて、チャン被告側は「偽札とは思っていなかった」と無罪を主張し、検察側は「旧1万円札がベトナムに大量にあることは奇妙かつ不可解」などとして、懲役9年を求刑していました。 判決で熊本地裁の中田幹人裁判長は「被告が、偽札かもしれないと認識をしていたという決定的な事情はない」として無罪を言い渡しました。 熊本地検は「判決内容を確認し適切に対応したい」と話しています。 弁護側によりますと、県内で行われた裁判員裁判で、起訴内容がすべて無罪になったのは初めてです。 一連の事件をめぐっては、逮捕された男女5人のうち、チャン被告以外は不起訴処分となっていて、チャン被告は逮捕後、約1年11か月の間、勾留されていました。