職務で管理する預金口座から現金を着服するなど、三重県職員の不祥事が相次いだことを受け、三重県は4日、緊急の庁議を開いた。不正の背景に「業務の遅れ」があったことを踏まえ、全職員に業務の進捗(しんちょく)などを聞き取ることを確認。具体的な対策を盛り込んだ再発防止策を策定することも決めた。 県では今年、既に5件の不正が発生。うち1件は主任級の男性職員=懲戒免職=が職務で管理する預金口座から約200万円を着服した。他の4件は公文書の偽造など、不適切な事務処理だった。 この日の庁議は、事態を重く見た一見勝之知事の指示で開催。県が不祥事を受けて緊急の庁議を開くのは、企業庁発注工事を巡る贈収賄事件で県職員が逮捕された令和5年11月以来となる。 庁議には、部局長や教育長ら約20人が出席。総務部は不祥事の原因として、公文書への認識や公印の管理が不十分だったことや、職員が業務の遅延を周囲に相談できなかったことを挙げた。 その上で、業務の遅延などの困りごとがないかを職員に聞き取るよう、各部局に依頼。コンプライアンス(法令順守)の意識を高めるため、管理職による声かけを徹底することも求めた。 業務負担の軽減▽業務の見える化▽相談しやすい職場環境の整備―に向け、具体策を検討することも決めた。各部局の総務課長らでつくる「コンプライアンス推進会議」で取りまとめる。 一見知事は「県民のために猛省すべきことは猛省し、変えるべきことは変えなければならない」と指摘。現状は月に1回程度とされる部局単位の会議について、頻度を高めるよう提案した。 後田和也総務部長は庁議後、報道陣を前に「不正が重なり、県民の信頼を損なっていることを深くおわびする」と陳謝。「周囲に相談できない環境になっている原因を探りたい」と述べた。