日本でも中国でも差別され…半グレ集団「怒羅権」創設者が語る「残留孤児2世の犯罪集団」が生まれたワケ

東京都江戸川区を拠点に立ち上がった、中国残留日本人2世たちによる反社会グループ「怒羅権」。彼らが仲間でつるみ始めた背景には、日本でも中国でも「ガイジン」扱いされた悲しい過去があった。「怒羅権」の創設者の生い立ちから、国家の都合に翻弄(ほんろう)され差別に苦しむ“日本人”の軌跡を辿る。※本稿は、石井光太『血と反抗 日本の移民社会ダークサイド』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。 ● 裏社会に君臨する「怒羅権」 中国でも日本でもよそ者扱い 日本でもっとも有名な2世の反社会グループといえば、1980年代にその名を轟かせ、今もなお裏社会に君臨している「怒羅権」だろう。 怒羅権は、中国残留日本人(以下、残留日本人)の2世が結成したグループだ。残留日本人とは、太平洋戦争中に国の移民政策等で中国国内に暮らしていたものの、敗戦後の混乱で帰国できずに取り残された日本人のことである。 東京都江戸川区の葛西と呼ばれる地域が、怒羅権の誕生の地である。 東京メトロ東西線の葛西駅を中心としたこの町は、東京23区の中では千葉県浦安市との都県境に位置する下町風情の漂う土地だ。かつては東京湾で漁業を営む人々が多く住んでいたが、戦後は水質汚染が深刻になり、埋立地による整備と共に巨大な団地やマンションが林立するようになった。 怒羅権の創設者の佐々木が日本に来たのは1981年、11歳の頃だった。残留日本人2世として河北省の家庭で生まれ育った彼は、日本語をまったく話せないまま帰日すると、地元の小学校に編入。その後、開設されて間もない日本語学級で、他の2世の子らと一から日本語を学ぶことになる。

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